第2話 謎かけ
遺跡はわりと近くにあった。
拠点の街の近場の山の中だ。
だからこそ、アキラはたった2人で攻略しようって言ったんだと思うけど。
土に埋もれた遺跡入り口を掘り出して、その封印を解く。
そのやり方は彼女しか分からないから、俺は見てるだけしかできなかったんだけどな。
「シン、入り口の開封済んだから行こう!」
メッチャ興奮してる彼女。
こういうところが好きなんだけど、気は引き締めなきゃな。
ここから先は、一応遺跡掘りなんだし。
縄梯子を使って遺跡の中に降りると、かび臭い臭いが鼻についた。
まぁ、御馴染みだ。
入る前に、火をつけておいたランタンを掲げる。
装備している革鎧の腰にぶら下げておいたんだ。
ランタンのガラスに、バンダナで髪をまとめた俺の顔が映ったように思う。
遺跡は一本道で、分かれ道は特に見えない。
ついでに通路に装飾も無い。
個人的な、魔術師の自己顕示欲とは無関係の遺跡っていうのは本当みたいだ。
そう思いつつ、背中に背負っていた両手持ちの斧を右手に持ち、左手に持ち直したランタンを掲げ直すと
「ランタンは私が持つよ」
アキラがそう言ってくれたので。
俺は彼女にランタンを手渡した。
「手帳はどんな感じだった?」
「主に、私的な研究のメモだった」
歩きながら、彼女は教えてくれた。
「……私的な研究?」
良く分からなかったので、そう訊ねると
「魔術師としての名声と関わらない研究って言うか……」
生き物の研究だったらしい。
研究していたのは……
「ヒクイムシ」
……ヒクイムシか。
一応、知ってる。
大きさ30センチくらいの、8本脚の蠍に似た節足動物だ。
草食性だがオスを食べて繁殖する習性があって、それでよく覚えている。
蠍と違って毒の尾は無い。
甲殻の色は赤で。
寿命は3年くらいだったかな。
そんな感じで、しばらくヒクイムシの話をしつつ進んでいたら。
少し開けた場所に出た。
そこには台座があって。
台座には……
何個か文字列が書いてあった。
古代文字の文字列だ。
あと……
数字の1から9までが刻まれたパネル。
これは取り外せるようだ。
そして9×9のマス目があって。
どうも見たところ、前述の1~9までのパネルが嵌められる構造になってる。
……奥には大扉。
多分これを解いたら開くんだな。
アキラは台座を調べてる。
俺はそんな彼女に
「この文字列、なんて書いてるの?」
「んーとね」
愛する者、身長、桁、足す。
そして9×9のマス目に
縦の軸、横の軸にそれぞれ「足の数」「寿命」と。
……そう、書いてあるらしい。
愛する者、か。
「あのさ」
「ん?」
アキラが俺を見上げて来た。
その様子に、彼女の純粋さを感じた気がした。
けどま
「魔術師サレオって恋人か奥さん居たの?」
愛する者って言われたら普通これでしょ。
そしたら
「居たみたいだよ? 手帳に書いてた。金髪のモデル体型の奥さん。名前はグリア」
身長、あと3サイズまで教えてくれた。
170センチで、90、66、90だって。
「体重は?」
「それは書いてなかった」
そっか。
……だとしたら。
ここはどうするべきなのかなぁ?
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