第5話 灯台下暗し
「う〜ん…どうしよう」
あれから1週間が経過したのだが、ヨカは魔術の構築に苦戦していた。
当たり前である
そもそも転移魔術を習得すること自体は実は簡単なのだが、それを使いこなす者は少数だ
理由は簡単
失敗した場合、最悪死ぬからだ
それに、転移魔術自体、発動に結構な魔力を消耗する。
具体的には、この世界の住民が大体1000前後とする。
もちろん、
転移魔術を行使するのに必要な最低魔力は約680
この魔力消費量だと、精々1人で隣町に行くぐらいの距離しか転移できない。
なお、これよりも消費が激しい魔法の中に禁忌魔術、終焉魔術、飛行魔術があるがそれも今は置いておこう。
つまり、こういうことだ
この世界でも転移するのに相当な魔力を消耗するのに
と、こういう理由で苦戦しまくった結果…
「視聴者〜ヘルプミ〜」
配信に逃げたのであった
『おうどした?』
『そういや1週間経ったな』
『転移魔術できたんでヤンスか!?』
「全っ然だめ!できる気配がしないよ!」
『あら意外』
『なんで?』
「だって〜…」
と、先ほどの事実を視聴者に言った結果…
『あー…』
『そりゃ確かに難しいわな』
『そもそもそんな魔力持ってるやつが居るのか?』
『…あれ?』
『まあヨカちゃんがえげつない魔力持ってるのは容易く想像できるけどなw』
『それなwww』
と、納得の声が多かったが、1つだけ疑問の声があった
『なあ、俺気になったことがあるんだけど』
『うん?』
『どしたどした』
『この魔法、配信魔法って呼ぶことにするけどよ』
『おう』
『この配信って地球と異世界繋いでるじゃん?』
『あっ』
『確かに』
『なんで映像はできて物体は無理なんだ?』
「あーそれはね、そっちにも配信サイトがあるからなんだよ」
『え?』
『???』
『どゆこと?』
と、ヨカの答えに疑問の声が上がった
「私たちの世界では、何もないところに転移するより、あらかじめ決まった場所に魔法陣が仕掛けられていて、そこに転移することで消費魔力を抑えてるんだよ」
『…つまり?』
「転移する先に元となっているものがあれば行けるってことなの」
これは簡単に言うと、
魔力だけで料理を魔力だけで創造するより材料が揃っている状態で料理を創造した方が消費する魔力が少ないということだ
「だから、地球に魔方陣があればよかったんだけど…」
今回は、
だが
『なんだ、簡単な問題じゃん』
『え?』
『え?』
「え?」
一人の視聴者が出した答えによってそれは吹き飛んだ
『魔法陣がないなら、創ればいいじゃん』
「それだー!」
確かに普通の方法では行くことはできない
それに魔法陣を精密に描く技術も求められる
だが忘れてないだろうか?
今は配信中
やろうと思えば画面の中にある魔法陣を
「よーし!早速取り組むことにするよ!」
『おう』
『頑張れよ―』
『どれくらいかかりそうだ?』
「…3日!3日あれば創れる!」
『マジすか』
これにより、ヨカの目に日が灯った
「それじゃあ、頑張ってくるね!」
『行ってらっしゃーい』
『あ、ちょい待ちちょい待ち』
「ん?なに?」
『そもそも地球のどこの国に来るの?それ俺ら知らないんだけど』
「…あ」
ここでヨカは自分のポカに気づいた
「…忘れててごめんなさい、ちなみに日本に行きます」
『偉い』
『ちゃんと謝れて偉い』
『って日本!?』
『イエイジャパニーズピーポー!』
『祭りだ祭りだー!』
「それじゃあね!」
と、盛り上がり始めたタイミングだったのだが
そんなことよりも魔術を構築させようと意気込んでいるヨカは急いで配信をぶった切ったのだった
なお、この配信を見ていた
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