スランプ
菊花賞を勝ったあと、トキメキは明らかなスランプに陥っていた。古馬といわれる年上の馬達との対戦では尽く敗戦を喫した。
年末に行われる「お祭り」、有馬記念。年明けに行われるアメリカジョッキークラブカップ、矛先を芝からダートに変えて心機一転挑んだフェブラリーS…。全てのレースで二桁着順。その後、左脚に軽い炎症が見つかり、春は全休。放牧に出され夏以降の復帰を目指すというニュースが、私がよく見る競馬のサイトに表示されていた。
「大丈夫かな…」
牧場で仔馬時代からいつもみていたトキメキの事が、とても心配になってきた。
しかし今、私は病室にいる。マッシュポテトとハンバーグを食べてから約半年ほどの月日が流れた。その間私は、「大きな岩」にでもなったかのような、固くて動きのない毎日を過ごしていた。
リハビリのカリキュラムと
ご飯とお風呂と睡眠。
それでも自由にお外に出たい、とは思うこともなかった。それが今の私のメンタル状況を現しているのだろう。
塞ぎ込んでいる頭の中にある、灰色のグルグル。
そこに光を供給してくれるのは…。
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