8

「……瀬さん」


「…………」


「桃瀬さん」


「はいっ!」


 翌日の朝。わたしは目を覚ました。


 梓沢くんの隣で。


「え、な、なななんで梓沢くんが!?」


「昨日、桃瀬さんが俺のこと、ここに泊めてくれたんでしょ?」


「…あ」



 そうだった…。



「じゃあ、俺行くね」


「え、行くってどこに?」


「高校」


「高校?」


 わたしはスマホで時間を確認する。



 まだ7時30分だ…。



「あ、あの、朝ご飯は?」


「俺、食べない派だから」


「桃瀬さん、泊めてくれてありがと。じゃあね」


 梓沢くんはそう言って、部屋から出て行った。



 行っちゃった…。



「静かだなぁ…」



 さっきまで梓沢くんがここにいたことが夢みたいだ。


 朝ご飯作って食べて、わたしも高校に行こう。

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