第58話 我儘な火の女王
マークウェルは、何とか、噴火口まで辿り着くことが出来た。
溶岩が、噴き上げており、風の大将の力の増幅版の結界の中にいても、かなり暑かった。
『おいおい、お嬢ちゃん、落ち着いてお兄さんと話そうぜ』
だが、噴火口では火柱が立って、周りの物が燃え尽くされていた。
『やい!! 我が儘娘!! いい加減にしないと雪雲を持ってきて、噴火口に摘めてやるぞ!! そうすりゃ、冷えてまた眠れるだろ?』
<なんてこというのよ!!>
火の女王は、初めて言葉を人に向けた。
『お前さんの取れる行動は、三つだ。一つは、俺と契約して精霊になる。もう一つはこのまま、ここで暴れて周りの山も破壊していくか、力の強い魔族にお持ち帰りされるかだけど、あんたみたいな高位の精霊は、基本的に光の眷属だから、闇堕ちはしないんだってな。最後にもう一つ、噴火口に雪詰めな』
マークウェルは、火の女王に喋らさずに一方的に、話を進めた。
マークウェルとしては、大山脈から雪雲を運んできて、噴火口に投げ入れたい気持ちが強かった。
一番手っ取り早くて、面白そうだったからだ。
それを察した火の女王は、
<あんたと契約してやっても良いわよ>
マークウェルに、契約を持ち込んできた。
<私は、レディ・アンジールよ。私は、高位の精霊よ、頭上の場所を開けなさい>
「おいおい、レディ、俺とセネガルドの付き合いは長いんだ。セネガルドだって、高位じゃねぇが上位の精霊だし、ここはレディが譲るもんだろ?」
<私に雪を詰め込むと言った、あんたと契約してやると言っているのよ。有り難く思いなさいよ。で、あんたの名前は?>
『マークウェル、カインだ。よろしく、レディ』
こうして、マークウェルは風と大地の女王、レディ・アンジールと契約をした。
風の奥方と契約していた、アドリアンでさえ噴火口には、近づけなかったのにである。
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