第54話 魔族のマリント
村長を脅して、村を管理しているマリントという魔族に会う手筈をしてもらったキムである。
この村にいることは、我慢ならなかった。
無節操に、襲ってた北の魔族は許し難かったが、ここでは、魔族が人間を家畜のように飼われているいう事実は、受け入れ難い。
「キム・ジェルンだな?」
『古代レトア語で頼む』
『面倒臭い奴だな。我らの仲間になれたのだ。嬉しいか?』
『何のことだ? それより魔王に会いたい。どうすれば可能だ?』
ディン族のマリントは、人間には友好的な魔族である。
人間に擬態した姿を持っていた。
そのマリントは、鼻で笑った。
『人間のままで、繁殖に精を出していれば良かったものを』
『オレは、魔族じゃない!! 殺したい奴がいるから強くなりたいと言ったんだ!』
『お前の事情など、こちらには関係の無いことだ』
『魔王と再び話したい!!』
『何が目的じゃ?』
ここへ来て半年のキムの信用など、皆無だ。
『何か、取引して欲しい。ここを出られるなら何でも応じよう。
オレは、あいつを殺せるなら魔族とだって手を結ぶぜ』
『ここを出たら、人間の冒険者に狩られる確率が増えるぞ?』
『だ~か~ら~!! オレは、魔族じゃない!!』
『フム、少し考えさせてもらえるか?』
マリントは、魔族の巣の方へ帰っていった。
『オレは、もう村には帰らんからな~!!』
マリントは、頭を抱えていた。
(あ奴を魔族にしたのは、魔王のアグネクト様だ……何か考えがあったに違いないが、この男は、自分が魔族であることを認めてない! それがどんなに危険であるか自覚が無いとは……)
だがあの男は、何かが違うようだ。
このまま放すにも危険すぎである。
(魔王様の元へ行って、相談しなくては……)
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