第42話 一気にAランクへ
「「なんで、百二十五匹蠍を倒した俺が銅貨1枚なんだよ!?」」
マークウェルは、不満で吠えている。
パーティーの仲間は、もう解散していた。
アドリアンは、ちょいちょいとマークウェルを呼んで、ギルドの審査官のもとに連れていった。
「今回のギャオ退治は、50匹でよかったの。あちらさんにも生きる権利はあるでしょ? だから、最初から金貨5枚の最安値の契約金を前金で、リーダーが受け取ってるはずだよ。
パーティーのメンバーは、僕と君を入れて5人だ。リーダーがAランクで、君以外はCランクだ。金貨1枚ずつは、持っていくだろう」
「最後の2枚は、どこに行くんだよ?それともこっちじゃ銅貨の方が金貨よりも価値があるのか?」
「さすがに金属の価値は何処でも同じか」
「おい、銀の森の追っ手野郎!お前が持って行ったのか?」
「ここで銀の森を出すのはやめて欲しいな。そのくくりで呼ばれるのは好きじゃないんだ。そうそう、僕の冒険者ランクは、Sランクでね。今回の裏リーダーだったんだよ。Fランクビギナーの君の力が見たくて、いっしょに行ったんだけど……君には、協調性が全く無いね~ 騎士団みたいなところにいたって聞いたけど?」
「嘘じゃない! 二年程いた。だが向こうでも、個人行動が多くて、反省文の常連だったんだ。それに魔族にいつ襲われるか分からない危機感が何時もあった」
「なるほどね」
二人は、マークウェルの戦利品である蠍の尾を持って、ギルドの二階にある審査官の部屋を訪ねた。
扉をノックする。
中から入室の許可する声が聞こえた。
「審査官様、お久しぶりです。Sランクのアドリアン・ロイルです。
こちら、ついこの間ギルドに登録したマークウェル・カインです。
こちらのギャオの尾を見てください。これは、彼一人で仕留めました」
アドリアンの言葉と蠍の尾の数の多さに審査官は、驚いた。そして顔をしかめた。
(当分の間ナムラ砂漠の仕事が、無くなってしまったではないか!)
弱い冒険者達の経験値を上げるための場所には、ナムラ砂漠のギャオ退治は最適だった。
こんな強い奴を、Fランクのままにしておいて、他の冒険者が育つのを邪魔をされたくはなかった。
「Aランクだ。その者は、Aランクに昇格させよう。事務手続きは、こちらでやっておく。これからも精進するように」
「Aランクなら、蠍をもっと倒せば、金貨を貰えるんか?」
審査官は、額に血管浮かび上がらせた。
「君は、ナムラ砂漠には、出禁だ!!」
「それは困る! オアシスに女がいるんだ!」
「そんなところだけは、いっぱしだな。蠍退治をするなという意味だよ」
「害虫退治なんか、いつでも受けるぜ」
胸を張って言うマークウェルに、審査官は、再び額に血管を浮かび上がらせた。
「Cランク以下の冒険者達の経験値上げの場所を荒すんじゃなーい!」
審査官に怒鳴られ、マークウェルとアドリアンは、審査官の部屋から叩き出された。
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