第39話 追っ手
次の日には、銀の森の追っ手がやって来た。
銀の一族の者だった。
髪の色が、淡い金髪だったけれど、銀色の瞳を持ったあの一族とよく似た顔をした男である。
ちょうど、マークウェルが出発しようとしていた時に、男は空から華麗に舞い降りてきた。
「マークウェル・カインとロザリンデ・リドールだね?」
「なんだ? なんだ?」
「銀の森の追っ手でしょ?」
ロザリンデは、予感していたようだ。
「思ったより遅かったわね」
「君の用意周到さに学び舎の師たちも口あんぐりだったよ。仲間の魔法使いを誘わずに逃亡志願の従騎士と一緒なんてね」
「どうとでも。私は、もう学び舎には戻らないし、戻る必要は無くなったわ」
「やっぱり、一日の遅れが重大な結果になってしまったか……分かってる? 君は、もうロイルの世界に戻れないんだよ」
ロザリンデは、それを聞いて大笑いである。
「自分で出て来たのに、戻りたいなんて思うもんですか! モントルー師に言ってよ。ロザリンデは、やっと自由になったのよ。この自由を手放す気はないわ」
男は、ため息をついて、了承した。
「了解した。学び舎には、そう伝えるよ。もうマークウェルに力を渡してしまった後なのだろう?」
金髪男は、ロザリンデを睨んでいたが、ロザリンデは動じない。
次に男は、マークウェルの方を見て言った。
「マークウェル・カイン? 僕はアドリアン・ロイル。本家のカーティス・エル・ロイルとは、再従兄弟にあたるんだ。僕の契約精霊が、風の奥方なもんで、追っ手に選ばれちゃったんだ」
マークウェルが、アドリアンの頭上を見ると、思いきりこちらを睨んでる半透明の熟女の精霊がいた。大将の力の比ではない。高位の精霊だ。
こんなことが分かるのも、ロザリンデが増幅の力とか言って、自分に術をかけたからなのだろう。
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