第5章 冒険者ギルドに登録
第37話 リド・オアシス
マークウェルは、一人で風の大将に飛ばせてもらって、空を飛んだことはあるが、他人と一緒に飛んだことはない。
しかも、すごいスピードで、飛んで行った。
「おいおい、飛ばしすぎだろ!! お前は大地の使い手なんだろう?」
「急がないと、追っ手が直ぐに来るわ!」
「なんで?」
マークウェルが、ロザリンデの顔を見た。
「学び舎の先生たちが、私を放してくれないの。長期休暇にも帰らせてくれないよ」
「どうしてだ?」
淡い金髪と緑の瞳を持つロザリンデは、学び舎の制服を着ていた。
神官の服装に似ているが、神官は、背中に太陽を現わすロイルのシンボルのマークのある上着を着ることに対し、学生たちは、リドムの葉をイメージした上着を着ているのだ。
マークウェルは、いつもの飛ぶ練習用に厚着をしていたが、どう見ても、彼女は薄着だった。
「それは、リドに着いたら話すわ。今は急ぎましょ。フルパワーで!」
♦
リド・オアシス____
大陸西部のドーリア王国にあるナムラ砂漠のオアシスの1つだ。
あまり、大きなオアシスではない。
夜明け前に銀の森に出て来て、夜更けにやっと、目的地に着くことが出来た。
一件の大きめな家の前でロザリンデは立ち止まった。
「良かった……10年前と変わってない……」
「ここがお前の家かぁ!?」
マークウェルは、覚えたての共通語の綴りを見て、目を丸くした。
「娼館!?」
「言ったでしょう!! 家の生業は娼館だと」
ロザリンデが扉を開ける前に、中から中年の女と思しき人が出て来た。
「リンデ!! 帰って来たんだね。ええっ! 帰って来ることは分かってたけど、こんなに早く帰って来れるなんて!」
「母さん、心配かけてごめんなさい。マークウェルのおかげなの。
彼がここまで私を送ってくれたのよ」
「娘を有難うございます」
母親はマークウェルにペコリとお辞儀した。
マークウェルは、モジモジと鼻を掻いた。礼を言われること自体に馴れてないのだ。
グ~ッと、腹の虫が鳴った。
ほとんど、丸一日以上飲まず食わずで移動していたので、腹は減ってるし、疲いて眠かった。
「母さん、マークウェルに上等の部屋に通して、食事もお願い」
ロザリンデが、マークウェルの表情を読み取り母親に頼んだのだった。
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