第28話 伝令のマークウェル
ヴィスティン王国が、また、きな臭いことを始めていると噂が立った。
出どころは、風の精霊の声が聞こえる魔法使いらしいが、そんなことはどうでも良く、ヴァレリエ団長は怒り心頭である。
早速、銀の森の西から、グルっと王都を固めた。
動いたら、攻撃するぞの姿勢を崩さなかった。
その中でマークウェルは、後方支援にいた。
それが不満のマークウェルである。
いつも、敵陣の最前線で戦ってきたのだ。
しかも、従騎士という地位。
先輩のオーランドの言うことを聞かなければならない、立場だった。
しかもオーランドは、新米の騎士で、まだ騎士団のことも良く分かってないような状態だ。
おまけに、オーランドとは、レトア語が通じない。
マークウェルは、首からかけた黒板で、覚えた綴りを並べて、会話をしていた。
言葉の壁が、マークウェルには、一番ストレスであった。
心話で、リエンファと時々、話していたが、光の神殿に引き取られた彼女は、すでに言葉も文字もマスターしていたとのことである。
それを聞いてますます焦ったマークウェルは、オーランドに積極性に話しかけて、なんとか日常会話に不自由しない程度までになった。
……というところで、この問題だ。
正騎士のオーランドが、後方隊長に、最前線にいる、ヴァレリエ団長に今回は、睨みを聞かすだけでよいでしょうとの神殿側の判断を伝える役目の命令が下った。
「「伝令!? 俺が!?」」
思わず叫んでいたマークウェルである。
「静かに!! 内密の件なんだから。」
「てめぇの仕事だろ? 一人で行けや!」
「あなたは、ボクの従騎士だから、一緒に来てもらわないと」
オーランドもやりにくそうである。
マークウェルの方が、年上だし剣の腕も立つ。
オーランドは、お役御免の日が早く来ることを本気で願っていた。
この日は、ブツブツ言いながらも、ついていったマークウェルである。
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