第26話 騎士団の試験
「では、俺と討ち合え!!この木刀を使うと良い」
「ウチアエ? 木刀ツカエ?」
ヴァレリエ隊長は、木刀をマークウェルの方に投げてよこした。
マークウェルは、木刀をブンブン振り回して黒板に、古代レトア語で
『俺は、人間と戦いたくはない』
と書いた。
「その長刀を持っているからか? ただ者ではないな?」
団長は、驚いて言う。
『軍隊では、上等兵だ。ここでの地位は何になるのか、興味はないが、俺の敵は魔族だ。南の地にだって、魔族はいるんだろ?』
マークウェルの黒板に小さな字でビッシリ書いた。
ヴァレリエ団長は、マークウェルに顔をくっ付けて言った。
『古代レトア語か。上等だ、上等兵。この世には、魔族よりも怖い存在もあるんだよ。魔族は、この銀の森の南と東にうようよいるぜ』
『ここには、襲ってこないのか!?』
『さすがに光の神の領域には、入って来れないんだろう。森を出てすぐに襲われる件は毎年、十数件はくだらないなぁ……』
『こんな身近に……本当に魔族がいるのか?』
マークウェルは、平和に思えた南の地にも魔族がいたことに驚いた。
『いる、いる。何なら、ちょっと行ってくるか?』
『行くぜ!!』
ヴァレリエ団長は、マークウェルの食いつきの良さに満足げだった。
カーティスを誘って、大神殿の東側の封鎖されている公開処刑場の門を開けさせた。
『ここって……』
『あたり! 公開処刑場ね。死んだ後は、魔族に死体の処理を任せてるんだ』
上空に黒い鳥が何匹か飛んでいた。
空の色まで違って見える。
『いる、三匹……』
「すごいな。門を出てすぐに気配を感じるとは!」
レ・ナン・ヴァレリエは、感嘆した。
マークウェルは、長刀、
『カーティス、ここにいるのは水に弱いタイプのアルゲイ族だ。ここの荒れ地に水を流せば、それだけで数が減るぞ』
そして、大きくジャンプして気配の無かった、三匹のアルゲイ族の首を切り落としてきた。
マークウェルの騎士団への入団が決まった。
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