第25話  レ・ナン=ヴァレリエ隊長

 次の日に、マークウェルとカーティスは、銀の森の西南にある騎士団に行った。

 マークウェルを、この騎士団に入れるためである。

 リエンファは、ともかくマークウェルの方は、祖神が受け入れたからには悪人では無かろうが、挙動があまりにも不審すぎる男だったのだ。


 光りの神殿では、神殿の間から出ると、だれかれ構わず喋りかけて、古代レトア語で話すものだから、魔族が銀の森に現れたのではないかと、恐れられたりもした。マークウェルは、ただ、皆に挨拶していただけである。

 空気の読めない彼には、何故、みんなが騒ぐのかが分からなかった。


 それで、三賢人から、年若いカーティスに面倒を見るように押し付けられたのであるが、カーティスにも、エル・ロイル家当主としての仕事があった。

 だからと言って、マークウェルを野放しにも出来ない。

 幸い、軍隊に所属していたという……。


 カーティスは、マークウェルを連れて神殿付属の騎士団の門をたたいた。


「これは、宗家のカーティス様。今日はどうしました?」


「ここにいる、マークウェル・カインに騎士団の入団試験を受けさせてください」


 ヴァレリエ隊長は、マークウェルのことを不躾なほど長くジッと見ていた。


「変わった気配だ。それに騎士団は集団行動だぞ? 団体行動が取れる奴なのか?」


 カーティスは、冷や汗をかいた。

(言い当てられてる……)


「でも、訳あってワタシの身近に置いておきたい人なんです。

 よろしくお願いしますよ」


 カーティスと共にマークウェルもいっしょに頭を押さえられてお辞儀をする羽目になった。


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