第23話 マークウェル・カイン
そろそろ外に出ても良いと言うので、光の神殿の外の世界に初めて出て二人は驚愕した。葉っぱの色が銀色に輝いていた。
それも辺り一面。
『目がチカチカするな~』
『……で、どうするか決めましたか!?名前をどうするか。言っておきますけど、そのままだと、こちらでは、カインちゃんと呼ばれますよ」
カインは黙ってしまった。
姓がチャンでは、可愛い世界らしい。
『どうせ、新しい名前を名乗るなら、強そうなのが良いな。この前言ってた様なやつとか、ヘッセルって古語で英雄って意味もあるんだろう?あれも入れたいな』
『どうして、英雄にこだわるんですか?』
『向こうじゃあ、活躍したのに陥れられて追放されたんだ! こっちの世界で英雄になって世界中の人を見返してやるのさ!』
カーティスは、本気で言ってるらしいこの人物の頭の中を疑いたくなってきた。
『英雄のマーティン・ラルクか……縮めてマークヘッセルはどうだ?』
『自分の名前に、英雄なんて入れる人はいませんよ。マークウェルでどうです? あなたの名前は姓にして、マークウェル・カインでは?」
カーティスは、マル眼鏡をはずして、レンズの曇りをとった。
見かけはどう見ても、長刀を持った騎士である。
団体行動には向いてないようだが、次なる作戦は神殿付属の騎士団に入れることだった。
『リェンファはどうなる!?』
『彼女は間違えなく我らと同じ血が流れてます。風、水、大地、火の精霊に生まれながらに祝福された者など一族を見渡してもいません。彼女の力をもっと、確かめたいです』
『あんまり、変な事させるなよ。あの力の所為でリエンファは、辛い思いをして来たんだ』
『北の地方では、魔法使いは珍しいのですね? こちらでは、我が一族を中心にその子孫が力を持って生まれることが多いですよ。
ここには、学び舎もあります……ところでリエンファの名前のことですが……」
言いにくそうに、カーティスがマークウェルになったカインにに言った。
『どんな名前だ!? 変な名前だったら、付け直せよ』
『その前に聞いて下さい。彼女は、名前を変えることを拒否しました。あなたの父上につけて頂いた名前をこちらでも名乗るそうです』
マークウェルは、頷くだけだった。
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