第19話  カーティス・エル・ロイル

 カーティス・エル・ロイルは、日の出前に起こされた。

 大事件が起こったと!!

(止めて欲しいものだ! 父であった先代のエル・ロイル家の当主が亡くなって、まだ10日と経っていない。そんな時に事件などどは!!)


 カーティス・ロイル、19歳

 銀髪と銀色の瞳を持った、エル・ロイル家の直径の者だった。

亡くなったばかりの先代に代わり、先日家を継いだばかりだった。


光の神の系譜を継ぐ直系の家として、周囲からは一目置かれていた。

カーティスには、荷が重いことこの上ないことだったが、それでもこの外見と、気真面目さが買われ、三賢人はカーティスのエル・ロイル家の次期当主に選んだのである。


 屋敷を出て、眼鏡を忘れていることに気が付いた。

 どうも自分には、リドムの葉の色が合わないようだ。

 眼鏡をかけていないと、目を回してしまう。



 ♦



 ここは大陸の南側。

 この世界の聖地と呼ばれる銀の森。

 聖なる光の神、イリアス・エル・ロイルが降りたった地として名高かった。

 そして、リドムの葉がキラキラ輝いて銀の森の由来になっていた。


 ご神体、アフレオスを祀る神殿は、光の神殿と呼ばれて三人の賢人(神の子孫たるロイル家の一族)が中心になって、世界の秩序を守らせていた。




 ♦



「何があったのです?」


「遅かったですぞ! カーティス様!」


 年長のザイラスに怒られた。


「怒られちゃったね~ 僕も今来たとこなんだ」


 最年少の三賢人のア-ティボルトに笑われた。


「これは由々しきことですぞ!! 笑い事ではありません」


 ザイラスが、非常に険しい顔をして言った。


「何があったの?」


 カーティスがザイラスに聞いた。

 ザイラスは、神剣の安置してある【神剣の間】へ二人を連れて行った。


 そこには、銀色に輝く人型になったご神体と黒髪の二人の男女の姿があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る