第16話  蓮華(リエンファ)との再会

河允カイン! もう、この国にあなたの居場所はないわ!』


 蓮花リエンファの声が、河允カインの頭の中に響いてきた。


『どうすりゃいいんだよ……』


『四日だけ待って!』


『?』


 河允カインは頭を捻った。


珂英カイン。そこから、南の大山脈を目指して麓で待ってて。会いに行く』


蓮花リエンファ!』


 そこで蓮花の頭の中の声は、途絶えた。


 珂英カインは、大きく息をついた。


 身体の装備を外して、金にした。

 その金で、旅支度をした。


 蓮花リエンファがあんなことを言ってくるには、意味があるのだろう……

 蓮花の言っていた大陸を南北に横断する大山脈は、帝都から遠くに見えた。




 ♦




 四日後___

 珂英カインの野営していたところへ、ドンピシャに蓮花リエンファは現れた。

 蓮花リエンファは、珂英カインを見るなり抱き着いて行った。


珂英カイン~ 会いたかった!」


「おいおい、顔を見せろよ。二年以上も見てないぞ」


「うん、珂英カイン


 涙で、グチャグチャになった蓮花リエンファは、顔を上げた。

 珂英カインは驚いた。

 特殊な化粧でもしていたのだろう……

 それが剝がれかかっている。


 河允カインは、魔族かと思って突き飛ばしてしまったくらいだ。


「「わ~っ!!」」


「ひっど~い!! 神女しんにょの化粧よ!」


 蓮花は、何処からか水を出して、顔を洗い布で拭いて、やっと素顔の蓮花リエンファの顔が見れた。 

 16歳に成長した幼馴染みの姿がそこにあった。


「良いのか!? 神女なんだろ?」


「良いのよ、やめてきたもん」


「ええ!?」


 河允カインはビックリした。


破浪ポーラン将軍のやり方には、嫌だったの。お金持ちの人ばかり優遇して。私を神に仕立ててるのよ。私は人間だわ」


「俺が一番知ってるよ」


「ありがとう、珂英カインのことを陥れた奴のこともカタキを取ってきたよ」


傑倫ジェルンに何かしたのか?」


「手柄を横取りしたことを、私の口から将軍に告げ口してやったの」


「な~る、神女の口からね……」


「それで、私も逃げて来たの!! キム家の当主は、名家の奥方に持つ人だもん。私を強引にライ将軍に引き渡すような人だわ。どんな報復があるか分からないわ」


神女しんにょを襲うなんてあり得ないだろ?」


「毒見係が、三人も死んでるわ。一回の食事でね。

 時間差のある毒を盛られていたのよ。あんな所には帰りたくはない!」


 身長も伸び、女らしい身体つきにもなっていた蓮花リエンファだったが、辛いことも多かったのだろう。


「俺を兵隊に入れたのは、お前の仕業か?」


 珂英カインがそう言うと、蓮花リエンファは、ニッコリと笑った。

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