第12話  新しい魔族、ディン族

「北のドレーヌ地方が、新しい魔族に襲われている」


 ライ将軍は、北の地方に現れた、人に近い外見の魔族の討伐を救世軍に命じた。

 その魔族は、人に触れるだけで精気を抜き取ってしまうという恐ろしい種族だった。


「一気に、50年も寿命を取ってく奴もいるようだ」


「ひぇっ!」


 珂英カインは、次から次に現れる魔族に辟易していた。


「張 珂英チャン・カイン、怖いのか? 何なら、ここで後方支援でも良いんだぜ」


 金 傑倫キム・ジェルン隊長が、何故かイライラして珂英カインに突っかかってきた。


「誰が、怖いと言ったんだよ!ただ……次から次へと良く湧くもんだなと思ってだな~」


 北の広大な、針葉樹地帯に精気を抜くディン族という魔族がたくさん集まっていた。


 寒さに強い種族であるらしい。

 今まで、北の海岸地方にいたディン族は、アルゲイ族の衰退により南下して来たのだった。

 種族間でも、食事は出来るが人族を襲う事で、濃くなった種族間の血を薄めるのにちょうど良いと思われた訳だ。


 救世軍は、ドレーヌのイシュアと呼ばれる自治区に拠点を置いた。


 ドレーヌ地方は、アルゲイ族からは上手く防衛が出来ていたようである。

 しかしある日、人間の見てくれに良く似た魔族が現れ、襲われていくようになったのだ。

 救世軍はドレーヌに着いて、自治区の周囲に香木を焚き堀を作った。


 でもディン族は、厳しい救世軍の監視を乗り越えて、街に入り込んで犠牲者を増やしていった。

 しかも、昼に現れるものだから、堪ったものではない。


 水は、ディン族には弱みでは無いようだった。







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