第7話  珂英、16歳

「ヤーイ、華々ファファの拾われっ子!! 川で拾われた魔族の娘っ子!!」


「こら!! お前らまた、華々のことを苛めてるな!!」


 ここは、大陸の大山脈の北側のシン帝国。

 内陸の大山脈の麓にあった小さな村だった。村のほとんどの者は、張氏を名乗り、一体の土地は、キム氏の所有だった。良質な鉄の採れる産地として有名で、掏国の子孫たちは、この土地での鍛冶職人のフリをしながら、魔族討伐のための刀を、シンの国の軍をまとめている来波浪ライ・ポーラン将軍に頼まれた時だけ作っていた。


「鬼っ子!! 魔族の娘」


「まだ言うか~!!」


 三、四人の男の子が、なおも蓮華リェンファに悪口をたたく。

 珂英カインは、顔を赤くして苛めっ子をけちらした。


「お前らこそ、村の外へ放り出してやるぞ!! これ以上蓮華リエンファに関わるな!!」


 いじめっ子たちは、尻を叩いたり、思い切り舌を出したりして逃げて行った。


「ったく!!」


 珂英カインも大きく溜息をつく。


珂英カイン~~ そんなにムキにならなくたって~~」


 珂英カインの後ろから、蓮華リエンファがヒョイと顔を出した。

 珂英は、蓮華リエンファが生まれた時から一緒に育ったから、違和感はなかったが、蓮華リエンファの銀髪と銀色の瞳は、村人の中では異質であった。


華々ファファ、お前は吞気だな」


「だって~~ なんとも思わないわ。子供なんてなんて」


 12歳の蓮華リエンファは、珂英カインに言った。


 銀色の髪を三つ編みにして、裾の短い着物を着ていたが全然似合ってない。珂英の父、俊是ジュンジェ蓮華リエンファを拾ってきて、12年たつがその俊是ジュンジェも亡くなって久しい。

二人は村の長老、若馨クゥシンのところでともに育った。

だが、蓮華リエンファは、他の村の子供とは違うことばかりだった。


 病の者を治したり、傷を負ったものを癒したりも出来たりするの持ち主だった。

 今も、逃げていく子供たちを転ばせて笑っていた。


「おい、をそんな風に使うな。婆様に叱られるぞ」


 珂英カインに怒られて、蓮華リエンファはうなだれた。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る