第3話

「さぁて、自由になったは良いが。帝都を出るにしても、この服装だと目立つか」


感動の別れを済ませ、まずは旅をする為に動きやすい服を買うか


「、、、マチナサイヨ」


え~と、確かあっちの方にあったはず


「、、チョット、、トマリナサイ」


後ろの方で、女性が怒っている様な聞こえる。喧嘩でもしてるのかな?


「だ・か・ら!待ちなさいってば」


あれ?何故かその声が、僕の方に近づいてくるんだけど。気になり振り向くと


「やっと、止まったわね。マルク」


そこに立つのは、僕の元婚約者のエリス


「あれ?エリス、どうかしたの?」


「どうかした?じゃないわよ!!婚約破棄って一体どういう事なの!!」


もうエリスのサンドル家に伝えたのか。こういった仕事は早いな、父上は


「どういう事と言うか、僕がレーベン公爵家から除名されたからね」


「ちょっ、ちょっと、除名って、、、どうしてそんな事になってるのよ」


「洗礼の儀があったでしょ、その時の恩恵ギフトの事でね。それに、どうやら僕は、使用人達からも嫌われていたらしくて」


「はあ!!何よそれ!それに、マルクが嫌われるって、、、まさか!あのバカ二人が」


ああ、そう言えばエリスは、家のバカ兄二人の行動を知ってたっけ


「そんな訳で、父上に家を出て行けって言われたんだ。だから、エリスも僕の事は忘れて他の男性ひとと、こ、、、」


「嫌よ!!ぜ~~ったいに嫌!!私はマルク以外は嫌!!」


「エリス、、、でもほら、お互い別れて時間が経てば」


「マルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイマルクハワタサナイ」ハイライトオフ


ひぇっ!!エリスのお目目からハイライトが、、、仕方がない。僕は、エリスを抱きしめ


「エリス聞いて。僕も、エリスと別れるのは嫌だけど、僕が帝都を出ていくのは決定事項だから。エリスが僕と一緒に来てくれるなら、僕としては嬉しいけどね」


そう言うと、エリスのお目目にハイライトが戻る


「分かったわ。マルクと一緒に私も帝都を出ていくわ」


ふわっ!!違う、そうじゃない。そうじゃないんだよ、エリス


「そうと決まれば、少し待っててねマルク。私も家から、貰うものを貰って来るから」


そう言って、光の速さで走っていくエリス。あるぇ~、僕が思い描いた事と全くの正反対の出来事が起こってるぞぉ~



後が怖いので、待つこと数十分


「お待たせ、マルク。行きましょう」


「ああ、うん」


服装は変わらず、持ち物も鞄一つのみのエリス


「ねえ、エリス。その鞄って」


「ええそうよ、魔法鞄マジックバックよ。マルクとお揃いね♪」


「そうですか」


「ほら、早く行きましょ」


「エリス。帝都を出る前に、服を買っていきたんだけど」


「えっ?服を?何で?」


「そう。ほら、僕達が今着ている服だと、旅をするには少し動きにくいし、目立つからね」


「それもそうね。さっすが、私のマルク。それじゃあ、早く行きましょ」


エリスと共に、動きやすい服を買いに行く



しかし、エリスが一緒に来るのは良いのだが、これって僕が誘拐した事にならないよね


「見て見て、マルク。これ、どうかしら」


「ああ、エリスの綺麗な髪に良く合っているよ」


「そっ、そう♪それじゃあ、これにするわ」


まあ、今はこの時間を楽しむとしますか



僕とエリスは、動きやすい平民使用の服装を何着か購入し、着替えも済ませ、帝都を出る。出るのが大変だと思うでしょ、でも違うんです


帝都に入る場合は、身分証でもあるステータスカードの確認と、犯罪歴が無いかを調べるクリスタルがあるが、出る場合は、ステータスカードを見せるだけで簡単に出る事が可能なのだ


他の大都市以外の村などでは、ステータスカードを持っている人が少ないので、その必要がない



「ねえ、マルク。これからどうするの?」


「そうだなぁ。まっ、適当に歩いて疲れたら休んで、日が暮れたら野営すれば良いんじゃない。幸い飲食料には、貰った手切金で沢山あるし」


「もう、マルクったら」


「別に嫌なら戻っても」


「それは、絶対に嫌!!私は、マルクとずっと一緒にいるの!!」


「そう、じゃあ行こうか」


「うん、絶対に離れてやらないんだから」


う~む、まさかここまでエリスの愛が重いとは、別に嫌いじゃないけどね。だって、エリスは今は可愛らしいけど、将来は物凄い別嬪さんになると思うし



のんびりと街道を歩きながら、エリスと話している


「そうだ!マルク。恩恵を授かってから、ステータスカードの確認ってした」


「いや、してないけど。何かあるの?」


「いいから、ほら。早く見せて」


「分かったよ」


エリスに言われ、ステータスカードを見せる。でも、ステータスカードって言っても、大したものが書いてあるわけではない


分かるのは、名前と魔力量、後持っていれば恩恵ギフト位なのだが


「やっぱり」


「何がやっぱりなの?」


「これを見て」


そう言って、エリスは自分のステータスカードを見せてくる


name:エリス

魔力量MP:300

恩恵ギフト:【豊穣】Lv.1(Max5)


見た所、可笑しな箇所は無さそうだが。自分のステータスカードを確認する


name:マルク

魔力量MP:200

恩恵ギフト:【雑魚】Lv.1(Max10)


うん、別に異常は無さそうだ。あっ、魔力量がエリスに負けてる


「特に、可笑しな箇所は無さそうだけど」


「違うのよ、マルク。お父様に聞いた話だと、本来、恩恵ギフトには、レベルは無いらしいの」


「レベルが無い?でも、僕やエリスの恩恵ギフトには、、」


「そうなのよ。それでね、忌々しいけどあのクソゲニルのも、見せてもらったの。それがこれよ」



name:ゲニル

魔力量MP:80

恩恵ギフト:【剣聖】


へぇ~、あんな偉そうにしてるゲニルも、魔力量は僕よりも少ないんだ。それに、確かに恩恵ギフトにレベルが無い


「ふ~ん、そうなんだ」


「そうなんだって、、、そうね、そうだったわね。マルクはそういう人だったわね」


一人で勝手に納得してるエリス


「それに、私の【豊穣】は数百年前に発現したけど、その時もレベルは存在しなかったらしいの。それと、あの場に居た他の恩恵ギフト持ちの子にも確認したけど、レベルは確認できなかったわ」


そうなんだー


「でもさ、エリスは最悪帝都に戻れるとして、僕は行く当てもない旅人だから、恩恵ギフトのレベルとか、気にするだけ無駄かな」


「もう、そんな事言わないで!!」


「ごめんごめん」


「もう」


その後は、お互い何気ない話をしながらゆっくりと歩く



恩恵ギフトのレベル、、、か。これが、ゲニルが持つ【剣聖】や、【賢者】【魔導王】等の強力な物なら分かるが


【雑魚】だしなぁ。でも、翌々考えると恩恵ギフトなのだから、自分にデバフを掛ける訳では無いだろうし、、、、、ん?デバフ、、、もしかして、、、



これは、検証が必要だな

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