第14話
だが不思議な事に、そんな逃げ出したと思う日々でも、1週間、2週間と積み重て行くうちに、それは次第に習慣となって行く。
習慣へと変わってしまえば、今度はそれが当たり前の日常へと変化して行く。
生きとし生けるものの適応能力とは何と素晴らしいものか。
――否。慣れとは何と恐ろしいものか。
このまま奴のペースに巻き込まれて、この日常を受け入れてしまっては、奴に負けを認めた事にならないか?
それはなんだか腹立たしい。何故神であるこの俺が、人間の小娘などを恐れ、奴に良いように弄ばれなければならないのか。
俺はついに、ちょっとした反撃に転じる事にした。
今日こそは奴に邪魔される事なく、日頃の睡眠不足を解消しなければ。
俺は、奴がくる昼前に、師匠にも内緒でこっそり社を抜け出し、山の奥深くへと入って行く。
師匠にも、誰にも教えてない秘密の場所で、今日一日昼寝をする事にした。
べ、別に、約束を破るわけではない。ちょっと、本当にちょっとだけ、自由な時間が欲しくて姿を隠すだけなのだから。
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