第9話
「あ~あ~あ~~、もう十分だ! いいからお前、早く帰れよっ!」
「それもそうだね。もう大分暗くなって来たちゃったし。じゃあ私、今日は帰るね。明日また来るからまた遊ぼうね。それじゃ、お邪魔しました~」
そんな台詞を一気に吐き捨て、ペコリとお辞儀をして帰って行く人間。
そんな人間をニコニコ笑顔で手を振りながら見送り、社を出て行く師匠。
あいつのペースについていけず、放心状態の一人社に残った俺は、沢山の汗と一緒に涙を流しながら、狂ったようにぶつぶつと今日学んだ教訓を呟いていた。
「人間怖い……人間怖い…人間……」
「大丈夫ですか、神耶?」
人間を見送って、社に戻って来た師匠が俺の顔を覗きながら尋ねて来る。
俺は見慣れた師匠の顔を見るなり、思い切り師匠に抱き付いて、情けない程ワンワンと、大きな声を上げて泣いた。
「うわぁ~ん師匠~、今日は師匠が神様に見えるよ」
「まぁ、本当に神ですしねぇ」
「師匠……人間怖いよ……人間……怖い……」
「人間全員が怖いって訳ではないんですけど。というか、あの子が特別?」
「師匠~師匠~~師匠~~~、あいつ、また来るって……」
この時の俺は完全に壊れていた。でも、そんな俺を師匠はいつまでも宥め続けてくれて、この時初めて俺は、師匠の偉大さを感じたのである。
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