第6話
どれほど時間が経った頃だろうか――
「あっ!神耶、目を覚ましましたよ!」
師匠と人間、二人から離れた位置で壁に背を預け、目を閉じていた俺を、師匠が嬉しそうに手招きして呼んだ。
「……そっか、良かったな」
だが俺は、素っ気なく答ただけで、手招きに応じる事なくそっぽを向いた。
そんな俺の態度を知ってか知らずか、師匠は人間の顔を覗き込みながら声をかけた。
「あなた大丈夫ですか? あんな所で倒れて、何かあったんですか?」
「……って、寝てたのと勘違いしたくせに」
師匠の人間への呼び掛けに、思わず呆れて突っ込んでしまいながら、俺は師匠に助言した。
「んな事聞いたって、そいつ驚かせるだけだろ。そいつには俺らの姿見えてねぇんだから」
「あぁ、それもそうですね。これではまたこの神社に幽霊神社と変な噂がたってしまいま……」
「あの~、私、どうしてここに?」
師匠の言葉を遮って、人間の子供が俺達に不安げな視線を寄越しながら口を開いた。
その視線に迷いはなく、大きな瞳はしっかりと俺達の姿をとらえている。
「「……っ!」」
師匠と俺は驚きに息を呑み、互いに顔を見合わせた。
「お前、俺達の姿が見えるのか? ってかお前、女だったのか? 今、私って……。髪は短いし、胸はまな板だし、そんな男みたいな
俺は、壁に預けていた体重を無意識に前に移動させながら、沢山の疑問を投げ掛けた。
「こら、初対面の子に失礼でしょう」
俺の発言に師匠が窘めるその横で、人間は苦笑いを浮かべつつも、「はい」と答えた。
そんな、まさか女だったとは……
いやいやそれよりも俺達の姿が見える人間がいるなんて……
俺はまじまじと人間を見つめた。
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