第4話
「神耶、あなたはいつまであんな事をしているつもりですか。お参りに来た人間を驚かせ、追い返し」
「……」
「だからこの神社は、幽霊神社だの何だのと噂され、誰も寄り付こうとしない寂れた三流神社に成り下がるのですよ」
「神耶、あなたはいつまであんな事をしているつもりですか。お参りに来た人間を驚かせ、追い返し」
「……」
「だからこの神社は、幽霊神社だの何だのと噂され、誰も寄り付こうとしない寂れた三流神社に成り下がるのですよ」
あぁ、まったくこの人は、皮肉を込めた話し方しか出来ないのか?
「うっせぇな。こんな田舎の神社一つどうなろうが、別に大した問題でもないだろ。いいから、もう俺の事はほっといてくれよ」
「いいえ。そうは行きません。私の弟子であるあなたに、そんなぐうたらな仕事をされると、私の指導者としての信用が失われるではありませんか!」
「はいはい、そりゃどうもすんませんねぇ」
またそれか。俺は飽き飽きしながら適当に言葉を返す。
「……それに、神耶」
「……?」
「あなた、このまま神としての仕事を怠けていると、いつかきっと神界から追放されてしまいますよ……」
「……」
それまで、ふわふわした冗談っぽい口調で話していた人が突然、真面目な口調に変わった。
この人も、この人なりに俺の事を心配してくれているのだろう事が分かった。
でも俺は、素直に師匠の忠告を聞き入れる事が出来なかった。
いつからか生まれてしまった“神”と言う仕事に対する虚しさから。
「別に……いいよ俺、それでも」
「神耶……」
師匠の寂しそうな声を背中で訊きながら、俺はボーっと社の壁の一点を見つめ続けた。
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