第29話 先輩のアドバイスは大切
(前回はサイキックを使って倒したから楽勝だったけど、チートスキルなしだとやっぱりまだ、そう簡単に勝てる相手じゃない、な!!!!)
現在、昼食を食べ終えたユウゴは依頼を受けたオークと対峙している。
丁度一体で行動しているオークを発見し、奇襲を仕掛けて倒すという選択肢もあったのだが……ウルのお荷物にならない為にと、真正面から挑んだ。
(なんというか……冒険者志望だった者とは思えないほど真面目だな)
冒険者とは、常に死と隣り合わせの職業。
当然、モンスターとの戦いは一瞬で終わらせられることに越したことはない。
ただ、ウルは道中でアドバイスとして、武器の扱いを上達させたいのであればレベルが近いモンスターとは、なるべくサイキック等のスキルを使わずに戦った方が良いと伝えた。
そのアドバイスが頭に残っていたユウゴは直ぐに実践しようと、遭遇した目当てのオークに正面から挑んだ。
(躱し方も様になってきている)
受けた依頼内容がオークの肉、一体分が欲しいという内容なので、頭部を切断。
もしくは、心臓を一突きして倒すのが好ましい。
それはユウゴも解っているので、先程から良いチャンスはないかと探っている。
「ブモォォアアアアッ!!!」
「恐ろしい形相、だな」
中々攻撃を食らわないユウゴにイライラし始めるオークだが、既に身体強化のスキルを使用していることもあり、振り下ろされた棍棒の下には……小さなクレーターができている。
ステータス的にはあまり防御力が高くないユウゴとしては、あまり食らいたくない一撃。
しかし、イライラし始めたということは攻撃が徐々に荒っぽくなる。
ダリスから剣技を習ったユウゴからすれば……隙が見えるといった状態。
オークのレベルは十五とユウゴより少し高いが、元々スピードはあまりないタイプ。
加えて、対峙している個体の反応速度は高くないので、大ぶりの隙を発見すれば……一気にダッシュして距離を詰める。
そして、まだ不細工ではあるがロングソードの刃に魔力を込め、見事オークの首を切断。
結局攻撃を一度も食らうことはなく、パーフェクトゲームといえる試合を達成。
「ふぅーーーーーー」
「お疲れ、ユウゴ。オークと武器だけの戦いはどうだった」
「やっぱりロングソードだけだと、まだ恐ろしさというか……圧を感じますね」
初めてコボルトと戦った時も似た様な恐ろしさを感じた。
ただ、オークはコボルトと違って棍棒を……面を使った攻撃を行ってくるので、圧の種類がやや違う。
食らったら骨がボキっと折れるであろう攻撃なので、スピードでは自分の方が上だと解っている攻撃であっても、現段階で恐ろしさを感じる。
「そうか。でも、それでも良い戦いだった。解体は私がするから、見張りを頼んだ」
「……分かりました。お願いします」
ユウゴとしては解体もまだ頑張りたいところだが、精神的に少々疲労しているのは自覚しているので、解体は自分よりも熟達しているウルに任せて周囲の警戒を担当。
だが、そもそも解体を始めるには血を全て抜く必要がある。
(……掃除機みたいなマジックアイテムはないのか?)
血抜きに役立ちそうなマジックアイテムが頭の中に浮かんだが、自身が錬金術のスキルを持っていないこともあり、直ぐにそのアイデアは頭から消去した。
そしてザっと血抜きが終わったところでウルがユウゴよりも圧倒的な速度で捌いていき……十分もかからず終わらせた。
(う~~~~ん……超早いな。解体ショーって感じ?)
売れない部分は掘った穴に入れて覆い、肉や魔石に骨、睾丸などはユウゴのアイテムボックスに入れ、終了。
一般的なモンスターの睾丸などはあまり売れないが、オークは種族的な特性故に、精力剤としての需要が高い。
女性には生理的に嫌われているモンスターだが、その分それなりに旨味があるモンスター……それがオーク。
「さて、一応依頼を受けたモンスターは全て倒し終えたが……ユウゴ、疲れはどうだ」
「…………多分、まだそれなりに動けるかと」
「そうか、では少しペースを落として散策しよう」
まだ日が暮れるまでには時間があり、アリステラからもそこまで離れていないので、他のモンスターと戦う……もしくはポーションなどに使える薬草を採集する時間に使っても良い。
とはいえ……二人の選択肢は一つ。
モンスターとの戦闘だった。
遭遇するモンスターのランクは当たり前だが、EやDが多いのでユウゴにとっては丁度良い相手ばかり。
ウルにとってはやや物足りさを感じるが、アリステラのような街にAランクのヴァイスタイガーなどが近寄るのは稀も稀。
基本的にはあり得ない。
「せいっ!!!」
日が暮れる前までゴブリンやコボルト、Dランクのブラウンウルフなどを倒し続け……ようやく二人はアリステラに戻ろうと決めた。
だが、そんなタイミングで少々厄介なモンスターと遭遇してしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます