第4話 肉ゲット
「こんな感じで良いよな」
ゴブリンの体を解体し、魔石をゲットした後……ユウゴはホーンラビットという角の生えたEランクのモンスターに遭遇。
今度こそ食べられるであろうモンスターに遭遇し、ユウゴのテンションは一気に上がった。
ただ、テンションが上がっても頭は冷静。
先程のゴブリンと同じく敵が襲い掛かってくるのを待ち、ジャストタイミングでウィンドアローを砲撃。
オートエイムのアシストもあり、見事一撃で討伐成功。
風矢の一撃で倒したユウゴは直ぐに解体に移り、ゴブリンの解体でグロ光景に耐性が付き、吐くことなくホーンラビットの解体に成功した。
そしてそこら辺の落ちていた木々を拾い、燃え過ぎない程度に火を付けて……現在良い感じにホーンラビットの肉を焼いている。
「……おっと、つい涎が。それにしても、随分と美味そうな匂いだな」
日本で生活していた時には兎の肉など食べたことがなかったが、見た感じと漂う匂いからそれなりの味なのではと思い……十分焼けているのを確認したユウゴは早速がぶりと口の中に入れた。
「…………うん、中々美味いな」
初めて兎の肉を食べたが、案外悪くない……寧ろ美味いとすら感じた。
ホーンラビットはユウゴの記憶の中にある兎よりサイズが大きく、それなりに食べられる肉の量があったが、あっさりと完食。
幸いにも水魔法を習得していれば、飲み水に困ることはない。
「ふぅ~~~、美味かった。そういえば、レベルが上がったんだったか」
スライムを倒し、次は三体のゴブリンを討伐。
そしてホーンラビットを討伐したことで、レベルが一つ上がった。
ドラ〇ンクエストの様に個性的な音が頭の中に鳴り響くのではなく、なんとなくといった感覚ではあるが、レベルが上がったと……若干ではあるが身体能力や魔力の総量が上がったのを感じた。
その感覚は正しく、ユウゴはレベル一から二へと上昇していた。
「……試してみるか」
ユウゴはその場で体を動かし、見様見真似で蹴りやパンチを放ち……その場で垂直跳びなどを行った。
「うぉ!? っと……え、マジで凄いな。本当にレベルアップ、してるんだな」
ユウゴの身長は現在百七十半ばほどであり、バスケットボールのリングに手が届くには約百センチほど跳ばなければダンクが出来ない。
異世界に来るまでのユウゴであれば身体能力的にどう頑張っても無理だったが、今の状態であれば確実にダンクが出来る……気がした。
その感覚は決して間違っておらず、確実に身体能力は上がっていった。
「これがガチのレベルアップ、か……日が沈むまで、ちょっと頑張ってみるか」
自身の体がリアルにレベルアップするのを体験したユウゴはランナーズハイ? などに近い状態となっており、遭遇したモンスターを積極的に倒していった。
そして……日が暮れる頃にはレベルが五まで上がった。
「……寝るか」
既に日は暮れ、人里に辿り着けなかったので野宿するしかない。
積極的に魔法を使ったので、魔力操作の技術が向上。
そのお陰でユウゴは風と雷、そして岩のドームを制作してその中で寝ることにした。
(運が悪かったら……死ぬかもしれないけど、しょうがない)
チートスキルを大量に貰ったユウゴだが、この状況だけはどうしようもない。
早いとこ信頼出来る仲間を見つけなければ、これから何を目標にして生きようか……なんて色々と考えてるうちに……ユウゴはあっさり眠りについた。
ゲーム三昧していたから……それにプラスして、昼間から夜にかけて動きに動いたことで……体はユウゴが思っている以上に疲れていた。
「んん………………そうだな。そうだったな」
異世界に転移してから一夜が明け、何故自分が真っ暗な場所で……しかも草の上で寝ているのか。
それを思い出すのに数秒ほどかかり、自分が生きていることにホッと一安心した。
「あぁ~~~~、良かった。とりあえず、岩のドームだけ解除するか」
外にモンスターがいないとも限らないので、ひとまず一番内側のドームだけ解除。
「あれ……太陽が真上ってことは、もう昼か昼過ぎってことか」
普通なら寝付けない環境なのだが、疲れ切ったユウゴの体はがっつり睡眠を取り……体はバキバキだが、体力は回復していた。
「……ドームの中が気になったのか?」
一番外のドームは風。
近づく者は斬り刻む。
先日戦ったゴブリンが無残にも切り裂かれている光景を見て、朝からちょっと吐きそうになったが、そこはグッと堪えて魔石を回収。
多めに焼いて保存していたホーンラビットの焼肉を取り出し、腹ごしらえ終了。
顔を洗って完璧に目を覚ましたユウゴは再び夕方になるまでレベル上げに勤しんだ。
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