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 人形に魂が入るなんて、非科学的なことを今さら信じるなんて、時代遅れにもほどがある。だいたい、魂とは何なのか。こんな話題で盛り上がれるなんて、全く解せない。しかもその人形廃棄ビジネスが、「人形供養」という形で成立しているなんて、日本もバカバカしいことをやっている。そんなのは、寺社仏閣や葬儀業者が手を組んで、パフォーマンスして金を巻き上げて、丸儲けしているだけではないか。人形やぬいぐるみなんて、いらなくなったらただのゴミだ。ゴミの分別表にも、ぬいぐるみは「可燃ごみ」の分類として明記されているではないか。「供養」というパフォーマンスの最後は、焼却処分されるのだろう。ただ、それがお坊さんの前なのか、葬儀業者の焼却所なのかという場所の違いに過ぎない。


 エクアドルの人形燃やしの行事の方が、理にかなっている。エクアドルでは毎年末に、人形を燃やすという行事が厄払いの儀礼として行われている。突然町のあちこちで人形が燃やされれば、それはそれでおかしいだろうが、処理の仕方としては正しいやり方だ。僕は燃えて影も形もなくなっていく人形の姿を思い浮かべたが、建物に延焼しないか少しだけ気になっただけだった。


 とにかく、その時僕はエケコ人形を、頭の中の買い物リストに入れたのだ。


 テレビでは恋愛成就のお守り人形として紹介されたらしいが、エケコ人形は本来それだけではない。願いによってエケコ人形に背負わせるものが異なるのだ。例えば、金運を上げたいなら、紙幣を背負わせることなどがあげられる。エケコ人形の大きさはタバコの箱より少し大きいサイズなので、背負わせるものは本物ではなくミニチュアでいいらしい。僕がその人形を持っていれば、皆から羨望の眼差しで見られるだろうし、友人にプレゼントすれば喜ばれるだろう。何故ならエケコ人形は他の人からとされているからだ。




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