第12話

「上手く丸め込みやがって…」



「凜人、さっきから王子ヅラが剥れてるぞ」



「はぁ…。

しょうがない、頬と唇は本物の王子様に譲るか」



「そうしろ。」




最後にそう話して俺は真依を正面に向かせた。



唇になんて誰にもさせねぇけどな。


例えした奴がいたらその場でぶっ飛ばすわ。




全体の号令は凜人がするのがほとんど。





「んじゃ、予行練習一回目!



ハイ、『チーズ!』



みんなで言うのかよ!


まぁいいけど…。ビデオ撮影、これにて終了…!」



『終わったー!』



「ぉわったー!」




やり遂げた顔で真依がパチパチする。




「疲れたな。休んでて良いぞ」



「うん!」




真依をおろしてソファに座らせると、俺はカメラを回収しにそばを離れた。




因みに、まだ録画機能は切らない。




テーブルを戻してからカメラを真依に向けると、真依は恥ずかしそうに顔を隠した。




もうカメラに映るのは満足なのか。


それでも最後にこれだけはやって貰わなきゃな。




「真依、今日の日付け言えるか?」



「えーと…


きょうはしちがつじゅうごにち!」



「良く言えました。」




そう言って真依の頭を優しく撫でてから、


カメラを止めた──。

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