第11話

「見せつけやがって…」




周りが騒いでる中、隣りで凜人がぼやく。




「別にいつもだろ」



「は? 滅多にしないでしょ?」



「ううん。

お兄ちゃん、おやすみ言ったあとチュってしてるよ」



「え、そうなの…?」



「あ、あとね!おきたとき!」



「マジかよ…」




凜人が言ったのはまぁ半分正解で、半分不正解なのは黙って置こう。



今、真依が照れ笑いを浮かべてるのは、「おやすみ」と「おはよう」の時しかしてないからであって。


_しかも、家族全員で下の弟妹二人にしてるからであって。



つまりは、


さっきの頬チューは結構珍しいことだと言える。




「真依ちゃん。俺もお別れする時、キスして良い?」



「うん!」



「凜人はしなくてもいいだろ」



「ううん!みんなにする…!!」




ん…?



みんなにさせるつもりじゃないよな。


そうなると、そのままの意味か?




「真依からするのはやめた方がいいぞ。


そうだな…。

させるなら手の甲にしてもらえ?」



「手のこう…ココ!」



「あぁ。

お姫様はな、王子様たちには手の甲にキスしてもらってるんだ」



「わかった!おひめさまそうしてるならそうする!」




真依が元気よく返事をすると、凜人がボソリと呟く。

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