第9話

離れた所にテーブルを置いてその上にカメラを置くと、レンズのピントを一度真依に合わせてアップを撮った。




少し、困惑してんな。


安心させてやるか。




どうやって安心させようか考えていると、良いことを思いつきフッと笑う。




“アレ”なら直ぐに安心するな。




今度は全体が入るようにピントを合わせると、俺はその場を離れた。




「さて、全員じゃないから予行練習だが…


しっかりやれよ?」



『 はいッ! 』



「いや、これビデオカメラだけどね?」



「良いじゃねぇか。この顔、何かするぜ?」




俺の顔を見て、道弘は笑った。



ソファは真依が真ん中に座り、左に凜人が座っている。


右はさっきまで道弘がいたが、移動して地べたに座り込んでいた。




「道弘、少し前出ろ」



「お?」




一歩ソファから離れる道弘に頷くと、俺は笑顔で真依を呼んだ。




「真依、おいで」



「ちょっと、秋良…!?」

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