第40話 母性大爆発!
僕らの部屋にやってきた芽那ちゃんのお母さんは寝間着に身を包んでいた。
しかも黒のベビードール。
透けてはいないけど、大きな胸の谷間も見えてしまっている。
こんなので一緒の部屋で寝るつもりなのかっ……!?
「お! ママ、気合入ってるねぇ~! じゃあウチも~……」
そう言うと、芽那ちゃんはパジャマのボタンを外し始めた。
「め、芽那ちゃんっ!? なにやって……」
「ウチもママに負けてらんないからねぇ~! きゃははっ」
お母さんと同じぐらいに胸元を露出させた芽那ちゃん。
その魅惑の隙間を覗き込んでしまう。
下着はもちろんつけていない。
「さぁさぁ、仲良くおねんねしましょうねぇ~」
お母さんはニッコリと笑い、こちらに迫ってくる。
僕は俯きながら、布団のほうへ向かう。
そこであることに気づいた。
「あれ……芽那ちゃんのお母さんの布団はどうするんですか? ここ2組しかないですけど……」
「そうねぇ……こっちに持ってくるのも重いし大変なのよねぇ。でも大丈夫っ! お布団大きめだから、3人でも問題なく寝られるわよ~」
「……えっ? それって……」
2組の布団を3人で使う。
そうなると、どう寝るのかがわかってしまった。
いつものように当たり前のごとく僕が中央。
そして両サイドを芽那ちゃんとお母さんに埋められる。
足りない布団を使うため、自ずと密着するような形になった。
熱と柔らかさ、そしてムンムンとした女性の匂いがやってくる。
こんなので眠れるはずがない!!
「じゃあ、せいちん、ママ……おやすみ~」
「お、おやすみ……」
「おやすみなさ~いっ」
芽那ちゃんはあっさりと眠った。
僕だけなのか、ドキドキしているのは。
すぐ近くにある彼女の谷間に目をやる。
息をするたびにその空洞が開いたり閉じたりしていた。
寝ている子にこんなことはいけないと思い、僕は頭を振りながら上を向く。
すると、お母さんのほうから視線を感じた。
「もしかして……眠れないのかな?」
「そうですね、あはは……ちょっと、緊張してるみたいで」
「慣れない場所だものね、仕方ないわ。落ち着ける方法があるといいんだけど~……」
お母さんは僕の目をジッと見て考える。
そうされると恥ずかしくて、目を逸らしてしまった。
でも注がれる視線を感じ、再び彼女の目を見る。
そこに映った表情はさきほどまで僕に見せたいた、飢えた獣って感じのものじゃなくなっていた。
すごく優しさと温かさを感じる、そんな目だ。
「もう少し……こっちに来てちょうだい?」
「は、はい……」
吸い寄せられるように、お母さんの元へ身体をズラす。
すると、パジャマの背中部分を芽那ちゃんに引っ張られた。
「せいちーん……むにゃむにゃ」
「うふふっ、この子ったら……本当に青霄くんのことが大好きなのねぇ。じゃあ私からそっちに寄るわね……」
僕が近づいたのと同じように、お母さんも近づいてくる。
綺麗な顔が間近にやってきて、それだけで恥ずかしくなってきた。
「じゃあママが落ち着けるようにしてあげるわねぇ~」
「えっと……んむっ!?」
お母さんは僕の後頭部に手を回したかと思うと、そのままゆっくりと胸元へ引き寄せる。
すると大きなおっぱいに顔がもにゅんと当たったのだ。
「め、芽那ちゃんのお母さん……!?」
「いいのよぉ、慌てなくて~……」
優しく頭を撫でられながら、息が荒くなる僕を包み込んでくれた。
胸だけじゃなくて柔らかいお腹や太ももまで当たり、目を回しそうになる。
これが落ち着く方法……?
むしろ興奮してどうしようもない。
そもそもこのやり方、芽那ちゃんと一緒だ。
ことあるごとに抱きついてきて、胸で甘やかしてくるアレ。
僕が……大好きなやつ。
「いっぱい甘えてちょうだいねぇ~……よしよし」
「芽那ちゃんの……お母さん」
「その呼び方、ちょっと長いわよねぇ? もっと短いの、なにかないかしら~? んー、そうねぇ……芽那と一緒にママ、って呼ぶ~?」
「えぇっ!? それは……」
「恥ずかしい? じゃあ……
「それも恥ずかしいですけど……そう呼びます」
「ふふっ、嬉しいっ」
そう口では言いながらも、心のなかではママ、とも呼んでみたいと思ってしまった。
やっぱこれが一番恥ずかしい呼び方な気がする……。
頭を撫でるのと同時に、背中も擦ってくる。
これも芽那ちゃんがよくすることだ。
もしかして、芽那ちゃんが小さいときに早葉子さんからしてもらっていたから、僕にしてくれるようになったんだろうか。
子は親に似るという。
この親子を見ていればそれがよくわかる。
じゃあ僕も……僕のお母さんと似ている部分ってあったのかな?
そんなことを考えていると、自然と早葉子さんの胸へさらに顔を押し付けてしまった。
「……あっ! ご、ごめんなさい」
「どうして謝るの~? たくさん甘えていいのよ~……いい子いい子」
「その……お母さんっていうのは、こういうもんなんですか?」
そう僕が問うと、少し会話に間が空いた。
それと同時に、早葉子さんが僕の髪を
「んー……さすがにここまで大きい子にはベッタリはしないでしょうけど、子どもが可愛くて仕方ないと思うのは間違いないでしょうねぇ~。いくつになってもそうよ~。まぁ、成長すると子どものほうから離れていっちゃうものだけどね、うふふ……」
「そう……ですか」
じゃあ僕の親は例外だ。
可愛いと思っていたのなら、お姉ちゃんに押し付けていなくなったりはしない。
やり方はここまで過激じゃないにしろ、大切にされるって羨ましいな。
でもどれだけ心の底から羨んでも、決して手に入ることがないんだ。
残るのは虚しさだけ。
それを埋めるように、僕はいつでも人に甘えてしまうのかもしれない。
僕も早葉子さんに優しく抱きついていると、なんだか今までとは違う甘い匂いがしてきた。
なんなんだろう……この匂い。
特におっぱいから漂ってくるような……。
ふと顔を上げると、早葉子さんの顔は真っ赤になっていた。
「えーっと青霄くん……」
「は、はい?」
「そのー……気づいちゃった?」
「えっと……なんか匂いがするんですけど、そのことですか?」
「えぇ……。私……まだミルクが出るのよ、うふふ」
「……なっ!? そ、そうなんですか……」
この匂い、どうやらそういうことらしい。
僕は粉ミルクで育ったろうし、そもそも匂いなんて覚えていない。
でもこういう匂いがするようだ。
「青霄くんが、ママのおっぱいむにむにするから……身体が勘違いしちゃったみたいね」
「ごめんなさいっ! そういうつもりじゃなかったんですけど……」
「いいのよ~、気にしないでっ」
そう言っているけど、早葉子さんはかなり恥ずかしそうだ。
彼女は肉食獣みたいに見えるけど、結局はウブ。
見た目や態度が中身と釣り合っていない部分がある。
でもそれが僕の心を乱してくる。
それでも早葉子さんは僕の顔を引き続き抱きしめてくる。
甘い匂いに包まれ、興奮しているのに眠くなってきた。
なんだろう、この気分は。
「よしよし……可愛いわねぇ」
耳も撫でられ、優しい声で囁かれる。
気がつけば僕は、幸せな気分で満たされながら眠りに落ちていたのだった。
そんなこんなで数日のあいだ、お世話になった。
芽那ちゃんと早葉子さんに優しく甘やかされながら、これ以上なく癒やされたのだった。
出発の日、早葉子さんはお見送りしてくれる。
「それじゃあ2人とも、怪我や病気には気をつけてね~」
「うん! せいちんがいれば大丈夫っ!!」
「はい、気をつけます」
そう言って会釈すると、早葉子さんは僕の手を取る。
そして引き寄せたかと思えば、抱きしめてきた。
「さ、早葉子さん!?」
「寂しそうな顔、してるわよ~?」
「えっ……」
自分では気づかなかった。
割と笑顔でいたつもりが、自然とそうなっていたらしい。
「大丈夫、またすぐに会えるから……それまでの辛抱よ」
「それって――」
「言ったでしょう? 親子ともどもよろしく、って~、うふふ。ほら、いってらっしゃ~い」
その言葉の意味を考えながら、僕らは一旦、早葉子さんに別れを告げるのだった。
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