第28話 水には溺れず、胸に溺れよう
揺れる福里さんの胸。
これから叩かれるというのに、彼女の目は恐怖ではなく期待に満ちていた。
僕は先生や福里さんのお尻をペンペンしたときと同じように、優しめにおっぱいの側面を叩く。
「んっ……」
ペチンっとハリがあることがわかる軽い音を立てると、胸がぷるるんと波打った。
一瞬しか触れていないのに、手には確かに柔らかく温かい感触が伝わってきたのだ。
彼女の顔を見てみると、口を半開きにしながらうっとりとしている。
やっぱり福里さんは……そういうことらしい。
「……い、痛くなかった?」
「……えっ!? あ、あぁ……大丈夫」
僕が叩いた場所を手で撫でながら、彼女は答えた。
そしてまたこちらを見ると、さらに一歩近づいてくる。
「い、一回でいいの? その……もっとやれば? こんなチャンス、あんまないんだし……」
「そ、それじゃ……」
今度は逆のおっぱいめがけて、パチンと叩く。
「んっ……」
声にはあまり出さず、その痛みを噛みしめるようにしてギュッと身を縮こませる福里さん。
こんなことで喜ぶなんて、普段の彼女からしてみると考えられない。
そうして何度かペチペチと叩いていると、なにかが近づいてきて叫ぶ。
「あー! 羽黒ちゃんが福里ちゃんとえっちなことしてる~!」
「せ、先生!?」
ぷかぷかと浮き輪に乗ってきた先生が、僕らをからかってきた。
彼女の声に、周りの女性客たちも反応してガン見してくる。
「こ、これは違うんです……!」
「なーにがちがうのー? 二人とも顔真っ赤にしちゃってさー! へんたーい!」
福里さんはなにも言い返さずに、俯いてしまった。
僕も手のひらに残るおっぱいの感触を思い出し、顔を赤らめる。
「ちょっ、ちょっとアタシ、頭冷やしてくるわ……」
「あぁ、うん」
そう言って福里さんはプールから上がる。
去り際に僕のほうをチラッと見ると、また恥ずかしそうにして歩いていってしまった。
そして僕は先生と二人になる。
「あの……芽那ちゃんはどうしたんです?」
「南島ちゃん? おなかすいたー、って言ってご飯買いに行ったよー」
「そうですか。先生は福里さんからも泳ぎ方、教えてもらったんですよね? あれからどうです? 泳げるようになりましたか?」
「ぜーんぜんダメー!!」
先生は手でバッテンをしながら答える。
そしてスイスイとこちらに寄ってきた。
「ねぇねぇ、羽黒ちゃんが教えてよー。そしたらわーし、なんか泳げる気がするー」
「僕がですか? 構いませんけど、泳ぐのは別に得意じゃないので……上手に教えられるかどうか」
「問題ナシ! やろやろー!」
乗り気な先生に誘われる形で、僕が彼女に泳ぎ方を教えることになった。
とりあえずは浮き輪をビート板の代わりのようにして、浮く練習をしてもらおう。
「うわぁ! 怖いよー! 沈むー!!」
「大丈夫ですよ、落ち着いてください。沈みませんし、もしそうなったら僕が引き上げますから」
「でも怖いー! 羽黒ちゃん、わーしを下から支えてー?」
「……下から? 脚を持てばいいんですか?」
「それじゃ、沈んじゃうよー! お腹のほうと、おっぱいのほう持ってー?」
「えぇっ!? それは……」
どうも顔に水が浸かるのが怖いらしい先生は、上半身を僕に持ち上げて欲しいようだ。
でもそんなことをすると色々とマズい。
先生は安心できるのかもしれないけど、ぷにぷにボディを触る僕が安心できない。
「はやくー! はーやーくー!」
「わ、わかりましたって……! いきますよ……」
手を水の中へくぐらせ、先生の胸とお腹に手を添える。
水着特有のザラザラとした材質の奥に、確かな柔らかさを感じた。
胸は予想どおりの強烈さだけど、お腹のほうもなかなか……。
僕がその感触に心を揺らしていると、先生はこちらを見てニヤリと笑う。
「な、なんですか……」
「えー? 羽黒ちゃん、嬉しそうだなーっと思ってー。ニュヒヒッ!」
「別にそんな……」
「ほらー、もっとしっかり支えないと溺れちゃうー! きゃー」
さっきまでの恐怖混じりの叫びなんかじゃなくて、明らかに余裕たっぷりで僕をからかうための叫びだ。
小馬鹿にされていることを感じつつも、小さな膨らみの誘惑には勝てない。
ムギュッと押すようにして支えると、先生の顔もじんわりと赤くなっていった。
「もう~、触り方がえっちだなぁ!」
「しょうがないじゃないですか……」
「ニュヒヒッ!」
その感触を味わうために力も一旦抜いたりしてみると、彼女はいつの間にやら自分の力だけで浮けていた。
「……あれ? 先生、泳げてますよ!」
「んえ? あ、ホントだー! わーし天才! ニュヒヒッ! よーし、この調子で泳いじゃうぞー!! とりゃー!!」
調子に乗った先生は、浮き輪を使いながらではあるものの泳ぎに行ってしまった。
「あっ、ちょっと!! あんまり遠くまで行っちゃダメですよ!」
「わかってるー!」
「大丈夫かな……」
でも先生が泳げるようになってよかった。
そう僕は揺れるお尻を見ながら思うのだった。
この辺で休憩しようかと、プールサイドに上がる。
すると、翠玲が座っている様子が見えた。
僕は身体に纏う水を払いながらそこへ向かう。
「翠玲」
「おぉ、
「隣、いいかな?」
「もちろん!」
腰掛けると、僕の周囲は水で濡れていくものの、翠玲の周りは乾ききっていた。
というか、彼女自身もまったく濡れていないように見える。
「あれ……プール入ってないの?」
「あぁ。シャツは着てるっていっても、濡れると透けちまうからな!」
「確かに……うーん、どうにかならないのかな。せっかくプールに来たっていうのに……」
「いいんだよ、俺は! 泳ぎたいっていうより、気分転換にこういう賑やかな場所に来たかっただけだからさ!」
「……そっか。ならいいんだけど」
とはいえ、やっぱりただ座っているだけじゃ十分に楽しめているとは思えない。
僕は彼女の綺麗な横顔を見ながら考えた。
でもプールはおろか、遊ぶこと自体にあまり慣れていない僕には妙案が思いつかなかった。
「プールに入らなくても……したいこととかあったら、僕に言って。そのときは協力するから!」
「ははっ、いいのか? そんなこと言って」
「う、うん……!」
すると翠玲の目つきが、獲物を狙うようなものになる。
「そんじゃ……こうだっ!」
「うわぁっ!?」
彼女はいきなり僕の頭を持ち、そのまま胸に近づけてきたのだ。
女の子の優しくて甘い匂いがムンっと漂ってくる。
「ちょっとっ、翠玲っ」
「そのままだぞ……」
翠玲はシャツのボタンを一つずつ外していく。
そのたびに地肌が見えてきて、僕の鼓動も高鳴る。
やがて見えてきたのは、白色の上品な水着だった。
「……言っただろ? 見せてやるって」
「うん……。き、綺麗だね」
「あははっ、好きだけ見てくれ……」
美しい谷間、大きな胸、オシャレな水着。
これを披露しないのは勿体なく思ってしまう。
でも僕にだけ特別に見せてくれてるんだと思えば、それ以上に喜びが湧き上がってきた。
翠玲は僕の頭を撫でながら、ゆっくりと頭を押さえていく。
そして、その谷間に僕の顔が触れた。
「す、翠玲っ……」
「今動くとバレちまうぞ? いいからそのままにしてろ……」
ふにふにと顔に胸が当たる感触、そしてドキドキしてくる匂いと温度。
優しく翠玲に抱きしめられると、もうなにも考えられなくなってしまう。
タイマンのとき「カッコいいところを見せてやる」なんて意気込んでいたのに、翠玲に甘やかされて情けない姿しか見せていない気がする。
息を荒げながら彼女の胸の中で惚けていると、後ろから声がかかる。
「あーずるい! せいちんを独り占めしちゃダメ! 共有財産なのっ!」
「やばっ……」
歩いてくる芽那ちゃんたちの足音と声が聞こえて、翠玲は慌てて胸元を隠した。
「あーごめんごめん。ボーイズトークしてたんだよ」
そう適当なことを言う翠玲。
すると芽那ちゃんは、翠玲がそうしたように僕を胸元へ抱き寄せてきた。
「んぶぅっ!?」
「せいちん、プールから上がって身体が冷えてるでしょー? 温めてあげるねー! あったかいねぇ、よしよーしっ」
今度は彼女の胸の中で溺れてしまう。
しかし、ここにいるのは芽那ちゃんだけじゃない。
「羽黒……やっぱりアタシ、まだお仕置きが足りないと思う! ほら、もう一回……いや、二回でも三回でもいいから!」
「えぇっ!? またするの!?」
福里さんはそう必死の形相で言い、僕の手を胸に添えてきた。
「うおわっ!?」
手の中を極上の褐色おっぱいが満たす。
思わず手に力が入りそうになるのを律するので精一杯だ。
「わーしもー! わーしにも泳ぎ方もっと教えなさーい! 次は平泳ぎー!」
「ちょっ……! 先生までっ」
先生もほっぺを膨らませながら僕にすがりつき、小さい胸をぐにぐにと当ててくる。
「あははっ! 女子って怖いな~」
「何を呑気な……んぶぅっ!!」
翠玲は僕が女子たちにもみくちゃにされている様子を眺め、自分がさっきしていたことを棚に上げて笑っていた。
女の子まみれになりながら、僕は考える。
せっかくプールに来たのに、結局おっぱいのことばかりでよかったのかと。
そして出た、揺るぎない結論はただ一つ。
これでいい!
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