第6話
そして、話しが30分を迎えた所で話しを閉じる藍斗。思いの外日が経っていたことに少々寂しくなり感傷に浸っていた。すると話しの途中からずっと泣いていた彩夜が藍斗に抱きついた。彩夜はいつもは自分から抱きついてくるようなことはしないため、藍斗は少々驚きながら彩夜を撫でる。彩夜は目からは大粒の涙が溜まり、零れていた。藍斗はその時点では、彩夜に復讐をしたいと言うことはまだ告げていない。
「藍斗様、お辛い思いをなされてぇ!!!」
「おいおい、何で君が泣くんだよ」
「だってぇ、あまりにも悲し過ぎるじゃないですかぁー!!」
彩夜は藍斗に抱きつきながら激しく泣いた。藍斗はそれを困惑しながらも、優しく彩夜の頭を撫でる。
(これじゃあ、復讐したいなんて言えないじゃないか。先が思いやられるな)
藍斗は彩夜を見て苦笑しながら、彩夜が落ち着くのを待つ。そうしていると、彩夜は落ち着きを取り戻した。そして藍斗は安堵した。それも束の間彩夜は藍斗に真剣な面持ちで話しかける。
「藍斗様、復讐とかなされないんですか?」
「あぁ、考えている。まずは両親を殺した張本人と陀吏亞の国王、そしてその国民。まぁ優しくしてくれていた奴は例外だな」
「なら、何故この国
「そんなもの、外堀から埋めて社会的に潰すために決まってるだろ?それに俺はあの時、自国共に他国の信用さえなかった。そんな人間が急に他国へ出てやっていけると思うか?」
彩夜は藍斗の言葉に納得した様子を見せた。それはそうだろ、藍斗が建てた計画は遠回りではあるものの、確実に潰すという意思があるのだ。
(驚いたな、彩夜は反対すると思っていたんだが…予想外だな。まぁ、彩夜は否定はせずとも加担はしないだろうな)
そんな藍斗の考えを遮るように彩夜は自分の言葉を話し始める。その言葉に藍斗は酷く混乱した。と同時に何がなんでも彼女を止めなければならないという思いに駆られた。何故なら、戦闘経験のない上に政治のことにもからっきしで華奢な彼女が「復讐に加担する」と言い出したのだ。藍斗は、それは流石に彩夜の提案を却下した。いつもはそれで引く彩夜は1歩も引く様子がみられなかった。そして2人は互いに言い合いをした。
(これはいくら彼女のお願いだとしても危険すぎる絶対撤回してもらわないと)
藍斗は何か良い考えはないものかと思考を巡らせてるとあることを思いついた。
「彩夜、復讐に加担して良い。その代わり、条件がある。1つは3ヶ月の間に1回でも俺に一撃でも入れたらだ。もちろんその間、魔法も武術を君に教える。もちろん何時でも何処でも攻撃を仕掛けて貰って構わない」
「そ、それだけでいいのですか?流石に申し訳ないです気が…」
「おいおい、それ…本気で言ってるのか?これでも、結構強いって有名なんだぞー?(やっべ、自分で言ってて恥ずかしくなってきた)」
「でも、流石に申し訳ないです」
そして藍斗は何とか躊躇している彩夜を説得した。これには流石の藍斗も骨が折れた。だが、何とか彩夜に納得してもらい武術、魔法を教えることにしたのだった。
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