第2話

そして、オシャレで可愛らしい女の子が好みそうなガーリーなものから少々動きやすい日用的なボーイッシュにかけてなんでも揃っていそうな服屋に入った。藍斗は少女を下ろし、魔法で一時的な靴を少女に履かせて少女に話しかける。


「好きな服を選べ」


「え、私はこのままで…」


「別にお前のためじゃない。お前がみすぼらしくしていたら俺が変な目で見られるんだ」


 とか何とか理由をつけて少女に服を4着選ばせ、そのうちの1着は少女に着せたまま買った。その一着は唯一少女自信が気に入った白のワンピースだった。それは正直に言うととても似合っていた。白のワンピースは袖の部分がふんわりと広がっておりその袖には美しいレース状の花があり、それはそれは可愛らしい物だった。一番最初に少女が手にした服がそれだったのだ。他3着は実用的なTシャツにショートパンツと言ったボーイッシュな服装だった。そして藍斗はそれを受け取り店員の元へ持っていった。すると藍斗と少女を見てレジをしながら藍斗に話しかけてきた。


「あらァ、藍斗さん。この前は荷物持ちありがとうね!助かったわ!」


「いえいえ、お役に立てたようで何よりです」


「……それにしても、この子は?」


 店の女性は少女を見て訝しんでいる。少女は怪我や顔色は魔法で治し、靴も履かせたが異様な程の痩せ具合は隠せなかった。藍斗は少女の方を少し見た。すると少女は首を縦に振ったことを確認し藍斗は女性にこっそりと事情を話す。

 (まぁ、別に嘘ついても良かったが少女がボロを出すかもしれない)

 それを考慮したら、本当のことを話した方が女性の信用も少女の精神衛生上にも良いという考えに至ったのだ。


「あら、そういうことだったのね。藍斗君、まだ13歳なのにすごいわね」


「いえ、滅相もないです」


 藍斗は女性に笑顔を張り付けながら言った。だが、藍斗はこの少女を買った時点で自分も商人達と同罪だと考えているため自分がいいことをしているとは思わなかった。

 (…俺は、心に傷を負っているこの子に何をしてあげられるだろか?)

 藍斗はまだ自分を警戒しているであろう同い年の少女を見ながら少女の接し方について考えるのだった。そして2人は店を後にし、藍斗は少女用の靴を2足買いついでに食事の材料を買い山にある自分の家へと少女と共に魔法で帰った。その時、少女は瞬間移動で酔ってしまっていた。藍斗は少女に申し訳なさを覚えながら少女をソファーに寝かせて、食材達を手に待ちながら台所へ立つ。その時には少女はぐっすり夢の中にいた。そこまで安心して眠れる状態ではなかったのだろうと藍斗は察し少女を起こさないように努める。

 (あ、そう言えば…この子の好きな食べ物って何なんだ?まぁ、今日は胃に優しいものにするか)

 少女は奴隷として扱われていた時は、薄味の物を食べさせられていたらしい。そのため、急に濃い味を出したら体調が悪くなるかもしれないと考えたのだ。そのため藍斗はコンソメスープにサラダ、柔らかめのパンにすることにした。だが、藍斗はそれらを自分の食事より少女の食事の方が僅かに多めに入れていた。少女にお腹いっぱい食べて貰いたいと言う思いもあったが、藍斗は過去のことが原因で食事をあまり食べることが出来ず食べすぎると吐いてしまうようになったのだ。そのため、1日1回食事をするかしないかの生活を送っていた。

 (我ながら、相当に荒んだ生活を送ってたもんだな。まぁ、食べすぎても吐くしどうしようもないんだろうけど)

 そして藍斗は淡々と食事を作るのだった。

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