第1話
そして数ヶ月後、凪…改め、
(…中々、いないな。俺の信用の出来る友人を見つけるのは。やっぱり俺には…)
藍斗は亜希のことを思い浮かべながら髪に着けている組紐をそっと触った。この組紐は黒と青…そして赤色が散りばめられている物で身分証のカバーのポケットにそれが入っていた物なのだ。すると、夕焼けのような赤と紫が美しいグラデーションになっている髪の腰まであるロングヘアーにガーネットのような赤い目少女はある行商人に連れられながら藍斗の横を通った。藍斗はこの少女は奴隷で、奴隷として最低限の世話もされていないという気づき流石に黙っていられなくなり行商人に声をかけた。
「なぁ、おじさん。その子、いくら?」
「お、兄ちゃん。1晩のお望みかい?」
「いや、その子の一生を買う」
「はっ?」
行商人が惚けている間に藍斗は幼い頃から皆が亡くなった時まで自分で稼いだ金を渡した。その金は大量膨大な物であったため、行商人は黙って金を受け取り少女と少女の首輪に着けている首輪を外す魔道具を藍斗に渡し去っていった。
(…やっぱり、奴隷を買うのはのは気分が悪いな。こんなことなら無理やり取った方が良かったか?)
藍斗が珍しくそんなことを考えていると、反抗的で不信感が隠せない目で藍斗を見ていた。そんな少女を見て自分の顔と声を見えないように覚えられないように、魔法を掛けていたことに気づいた。藍斗は、自分が陀吏亞の英雄である凪ということにバレないようにことある事に顔を魔法で変えているのだ。そして藍斗は魔法で藍斗としての顔と声になった。少女はそんな藍斗を見て目を見開いた。すると藍斗は魔道具を使い少女の首輪を外し口を開いた。
「お前、名前はあるか?」
「ない…です」
「そうか」
藍斗は短く言い、少々考えながら少女が雑巾のような服を着ており足元は靴を履いておらず裸足で歩いていたことが目に付いた。幸いなことに今は、4月で少々暖かくなってきた時だった。だが、少女の服から見えた素肌はガサガサで爛れており色々な傷の跡があった。そして少女の目は恐ろしいものを見るような目をしており、小刻みに震えていた。そんな、少女の様子を見て藍斗は予想以上に奴隷商人にされた仕打ちが酷いものだと感じ憤りを覚えた。そして藍斗は、少女に自分が着ていた上着を被せてやり優しくお姫様抱っこをする。
「え、あ!?あの…」
「何だ?」
「私は大丈夫なので。お、下ろして欲しいのですが…」
「ダメだ。こんな状態の女の子を歩かせるほど、俺は鬼畜じゃない」
藍斗は少女に言い放ちながら少女に回復魔法を施しながらある店に入った。
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