裏切られ続けた最強の復讐
紫野 葉雪
プロローグ
ある戦争の中、血溜まりと死体の山を掻き分け血に塗れた衣類を身に纏い
(は、早く家に帰らないと皆が心配する)
その一心で凪は石を投げられようが、迫害を受けようがお構い無しに家族が待つ家に向かう。すると、家に近づけば近づく程血の匂いとある異臭がした。その匂いは戦場で嗅ぎ慣れている物だった。凪は嫌な予感を感じながらある予想が思い浮かんではそれを頭の中から消す。そして、自分に出来る全力で家へと向かった。すると凪はあるものが家の前で倒れているのを見てしまいこの上なく叫びながらその名を呼び怪我をしていることを忘れ駆け寄る。
「亜希っ!」
「あぁ、凪…おかえり」
「しゃ、喋らないでよっ!今手当するから!」
凪は手当をしようと亜希の傷を見た。そして絶望した。亜希の傷は、もう手遅れの状態だったのである。死を待つような状態だ。
(う、嘘だっ…嘘だ!!だって、だって…この家には許可がないと入れないように細工していたはずなのにっ)
凪はそう思考を巡らせる。するとその思考を止めようとせんばかりに、亜希は凪の手を握る。そして凪は亜希が最後に何かを言おうとしていることに気づき黙って亜希の言葉を待つことにした。
「ねぇ、凪」
「何?」
「僕が死んだらすぐにこの国を出て」
「っ!」
凪は衝撃を受けた。何故なら、家族の中で1番この国にいて欲しがっていた亜希からの発言なのだから。そんな亜希の意外な発言に凪は何も言えなくなっていた。すると亜希は微笑みながら偽の身分証を手渡してきたのだ。凪はそれを受け取り、泣きそうになる表情で礼言うと亜希は満足そうに笑い目を閉じた。それと同時に亜希が強く掴んでくれていた手が離れる。その後、家に入ると亜希の言う通り両親の亡骸があった。その亡骸は亡くなって数時間くらい経ってる様子だった。その亡骸にはハエが飛び強い異臭を放っていた。
凪はそれらを丁重に埋葬し、手を合わせながら泣いた…泣き叫んだ。人目も憚らずに、ただ何も考えずに悲しみに浸っていた。自分がこの国からもこの亡骸達にも、別れの挨拶が出来るようになるまで。流石にこの時までは人々は凪に何もしなかった。だが、そんなことを考える余裕もない凪は心の中で強く誓う。
(絶対に…絶対に…!!この国に…あいつに…復讐し、仇を打つ。……それまで、待っていてくれ)
凪は手を合わせながら荷物を持ちこの国を堂々と去った。これは2月26日の話しでこの日は凪の12歳の誕生日だったのであった。
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