第49話 【ギルド設立・1】
今回行くゲートは、真との連携を考えてD級ゲートに行く事にした。
「すみません、俺のせいでランクが低いゲートに行く事になって……」
「別に気にしなくていい。俺達と真の連携を確認する事が大事だからな、予想より良かったら明日からランクを上げれば良いだけだからな」
自分のせいでと責める真に対し、俺はそう言ってゲートの中へと入り探索を始めた。
今回、新たに前衛が増えた事で陣形を少し変えた。
まず前衛の中でも先頭には俺が立ち、その後ろには陸と真が配置されている。
そして後衛組は、中間に渚を配置して一番後方には智咲と杏奈を配置した。
このパーティーの中で一番危ないのは、経験が少ない渚なので渚を守るような陣形を作っている。
「真君、あの魔法どうやって維持してるの?」
探索を始めて一時間程が経ち、少し休憩を挟むと陸は真にそんな事を聞いた。
真は戦闘時、槍に魔法を付与した状態を維持して戦っていた。
その威力は絶大で【身体強化】も合わさり、攻撃力に関してはC級探索者とほぼ変わらない。
「一ノ瀬さん曰く、俺って元々魔法に対しての適性は高い方らしいんだ。ただ放出する系の魔法が苦手で、逆に自身に付与する形なら物凄い威力を発揮するって教えてくれたんだ」
智咲は回帰前の〝魔槍〟の才能と、今の真の状態を見て色々と助言をしていたみたいだ。
その結果、真は既に〝魔槍〟として活躍してた頃の片鱗を出しつつある。
更にそこには智咲の魔法の知識と、俺の武道の知識も合わさっており、このままいけば回帰前の〝魔槍〟を超える存在となるだろう。
「凄いな、俺は魔法は守りにしか使えてないからな……」
「それはそれで凄い才能だと思うよ。陸のその守り、学校でもトップだって事自覚しないと」
「陸。言っておくけど、魔法に優劣はないわよ。魔法は全てが素敵な能力なんだから、自分の持つ才能に自信を持ちなさい」
自信のない陸に対し、智咲はそう鼓舞するようにそう言った。
それから俺達は探索を再開し、真を入れた初めての探索はかなり良い感じで終わった。
その後、真を陸が一緒に送ると言って別れ、渚は今日は特に疲れたからと早めに自室へと戻った。
そして残った俺と智咲、杏奈は三人で今日の振り返りを行う事にした。
「前衛が一人増えるだけで、かなり楽になったわね。特に3体以上出た時も対処が簡単だったわね」
「そうだな、特に陸と真は元々知り合いだったってのもあるけど、良い組み合わせで真を入れて正解だった」
陸と真、同じ前衛組な為、連携力がより試される配置だったが、二人はそんな俺の心配を直ぐになくしてくれた。
「まあ、今まで陸は同世代とはいえ年上ばかりパーティーで活動してたから、一緒の年齢の真が居たのが精神的にも良かったんじゃないかな?」
「それもあるだろうな」
今の俺達のパーティーは、最年長が渚で次に俺と智咲、杏奈の三人。
そんな中、陸は一番下でこれまで年上としか接してこなかった為か、年齢に見合わない程に落ち着いていた。
しかし、今日は真が一緒に居た事でいつもと違い、少し子供らしさを見る事が出来た。
「明日はアカデミーも陸達の学校も休みだし、ゲートに泊まるつもりだけど予定通り進めて大丈夫そうだな」
「ええ、今日の動きで特に心配事は無かったし、良いと思うわよ」
「私も皆と同じ意見だね。まだ連携に慣れない所は多少あったけど、それは時間が解決する問題だし、今は何より一緒に居る時間が大事だと思うかな」
そんな感じで予定通り、明日は真を連れてゲートに泊まりに行くと決定して解散した。
翌日、朝早くに準備を済ませ真と合流をした俺達は渚の【時/空間属性魔法】でゲートまで移動した。
移動後、入口で確認をして中に入った俺達は昨日と同じ陣形で探索を始めた。
「……週末の低ランクゲートは人が凄く増えるって事を忘れてた」
休日の低ランクゲートは、俺達のような学生探索者や兼業探索者が多く探索に来る。
その為、魔物や素材の取り合いで真面に経験を積む事が出来なかった。
「すみません。俺のレベルが低いせいで」
「いや、そこは仕方ない事だから気にするな」
昨日とは違って、真が自分のせいでと申し訳ない気持ちで謝罪をしてきた。
俺はそんな真に気にするなと言い、杏奈に人が少ない道を探してもらい普段より魔物との遭遇は少なかったが何とか経験を積む事は出来た。
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