第50話 【ギルド設立・2】
そして一泊二日のゲート探索を終え、パーティーハウスに戻ってきた俺はある重大な事を思い出した。
「智咲。ギルドって名前が必要だったよな、俺達名前決めてなくないか?」
「そう言えば、まだ決めてなかったわね。でもそんなに焦る事かしら? まだギルドも建ててないし、時間はあるでしょ」
智咲はそう言うと、他の皆も同じような意見で俺達はそこからギルドの名前を考える事になった。
勿論、ほぼ加入決定の真も参加して一緒に考えるように言った。
「まずはどんな名前が良いかだな、みんな何か案はあるか?」
「私はいつかドラゴンを討伐したいから、それにちなんだ名前とかが良いかしら」
「智咲ちゃん、そんな夢があったの? じゃあ、滅竜とか?」
「だとしたら、既存のドラゴン系の名前を使ってるギルドから不信感を持たれるかもな」
ドラゴンという名前は昔から人気で、よくギルドの名前として使われている。
「別に私はそれでもいいと思うけど?」
「まあ、他に案が出なかったらそっち系で考えよう。他に案はあるか? 別に智咲の夢に関係ないのでも構わないから」
「それでしたら、俺は武道と魔法をかけ合わせた名前が良いかなと思います。パーティーの要なのは、武蔵さんと一ノ瀬さんなので二人の力を象徴とするような名前とか良いかなと」
「あっ、それ俺も考えた。姉ちゃんも入れて最初は三人でスタートしたって聞いたけど、やっぱり俺達のパーティーの華って武蔵さん達だし」
真の提案に対し、陸は同じ事を考えてたのかそんな風に言った。
「姉に対して酷い言い様ね」
「事実だし、それに姉ちゃんもそう思うでしょ?」
「否定は出来ないわね。正直、最初は三人でスタートしたけど武蔵君と智咲ちゃんと並べられると困る」
「杏奈の場合、サポート特化みたいなステータスだからそう思ってるだろうけど、十分凄いと思うわよ。武蔵もそう思うでしょ?」
自分の事を下にみてる発言をした杏奈に対し、智咲はそう言って俺に話を振って来た。
「正直、杏奈のスキルはそんな簡単に手に入るものじゃないからな」
「似たスキルを探すのすら苦労しそうだから、その点で言うと俺や智咲は頑張れば探せるからな」
「武蔵と智咲が探せるレベルって、それこそ自分の事を下に見てる発言だよ。確かに強い探索者は居るけど、その年齢でそのレベルは異常だからね」
俺の言葉に対して、渚は真剣な眼差しを向けて言うと、他の皆もウンウンと何度も頷いていた。
「取り合えず、話が脱線したからギルドの名前に話を戻そうか。今の所候補としては、二つだけど渚は何か案はあるか?」
「う~ん……僕は二人の事は救世主と思ってるから、そんな感じの名前が良いかな」
「流石にはそれは……他の案で困った時でいいか?」
「うん。大丈夫だよ」
渚の案を聞いた俺は、流石にそれは恥ずかしいと感じで前二つの意見を元に良い名前を聞けないといけないとより真剣に考えた。
それから一時間程、色んな名前の候補を出し合ったが中々決まらなかった。
「名前を考えるのってこんなに時間がいるのね……」
結局、真の帰宅時間になってしまったので今日の所は会議を終わりにし、真はいつもと同じように陸が家まで送りに行った。
そして部屋に残った智咲は自分の思っていた以上に、名前決めが大変な事に弱音の様な言葉を吐いた。
「ギルドの名前はずっと使うからな、時間は掛かるだろうと俺は最初から予想してたよ」
俺は最初からこんな事になるだうろと予想をしていたから、名前を決めてない事を思い出せて本当に良かったと安心した。
「取り合えず、皆の宿題としていい名前の候補が思いついたらメモをしておいて次の会議の時に出して欲しい」
「分かった。ゆっくり考えれば何かいい名前が思い浮かぶと思うし、頑張ってみるね」
「僕も一人の方が落ち着くし、何か思いつけるように頑張ってみる」
杏奈と渚をそう言って、俺達も解散して俺は自宅の部屋に帰宅した。
「ギルドの名前決めか、確かにあれは大変らしいな」
「私の知り合いにもギルドを建てた人が居たんだけど、名前決めだけで一ヵ月は掛かったって言ってたわね」
「やっぱり結構時間が掛かるんだね」
帰宅後、今日の話し合いの事を両親にした。
母さんは自分の知り合いにギルドを建てた人が居たらしく、その人の話を聞いてやっぱり名前決めは大変なんだなと感じた。
「でも時間を掛けただけ、そのギルドに思い入れも出来るから良い時間だったって言ってたわよ。だから武蔵達も言い合いとかになるかもしれないけど、頑張って考えるといいわよ」
「うん。頑張ってみるよ」
母さんからの言葉に俺はそう言って、早めに自室に入った俺は名前の事を考えながら寝た。
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