第46話 【三人目の仲間・2】
「どうしたんだ? 俺だけ残ったって事は、重要な事か?」
話し合いは皆でしているが重要な事だったり、回帰前の話題が出る際は二人だけで話し合っている。
「まだそこまで大きくはないと思うんだけど、やっぱりギルドを建てた方がいいと思うのよね」
「……勧誘が酷いからか?」
「ええ、最近は私達が行ってるゲートにまで来てるでしょ? 正直、うざいのよね」
「ランクを早く上げ過ぎた弊害だな、ただそうしないと早く強くなれないからな……」
本来、昇格試験はかなりの期間をあけて徐々に上げる物だが、俺達はかなり早いペースで上げている。
その主な理由としては、ゲートに行けるようにする為だった。
しかし、そんな俺達の急なランク上げに周りは騒ぎ立て、沢山のギルドから勧誘をされている。
「正直、一緒に戦う人は選びたいからな……最終的な俺達の目標は、回帰前に殺されたドラゴンロードを討伐する事だからな」
「そうね。今のメンバー、特に陸は凄く成長してくれてその戦いにも連れて行けそうだものね」
「陸の存在は本当に大きい。杏奈に関しては最初から強くなる事は分かってたけど、陸があそこまで成長するとは思わなかった。今後も期待できるし、本当に良いタンクだよ」
陸は回帰前では活躍せずに亡くなった探索者の一人だったが、俺達と共に行動するようになって凄く成長した。
能力面もそうだが、戦術に関しても俺や智咲から色々と吸収して、最近だと作戦を練るのにも参加している。
「ギルドにするなら、後一人必要よね? 渚はどうなのかしら?」
「今は誘わない方が良いかと俺は思うな、俺達が本格的にパーティーに誘ってギルドを建てたいって言ったら色々と意識して考え込むだろうからな」
「あ~、確かに彼はそういうタイプよね……だったら、真はどうかしら? あの時は、陸の事を考えて誘うのは止めたけど今はもう十分パーティーの一員として頑張ってるし、真も早く強くしておいた方が良いと思うのよね」
「確かに〝魔槍〟がパーティーの一員って考えたら、俺に次ぐ前衛のアタッカーになってくれるだろうし、もしギルドにした際はパーティーを分けた時のリーダーとしても素質があるからな……」
その後、パーティーの話になったので俺は杏奈と陸を部屋に呼び戻し、真をパーティーに誘おうと思っている事について伝えた。
「私は良いと思うよ。後衛も今は三人だし、前衛が増える分には良いと思うよ」
「俺も良いと思います。それに秋山の強さは俺も良く知ってるので、入ってくれたら心強いです」
「了解。じゃあ、取り合えず真が時間があれば明日にでも聞いてみるよ」
そう言ってこの日の二回目の会議は終わり、今度こそ解散となった。
翌日、昨日の時点で連絡を入れていた俺は真と雄二さんのカフェで会う事にした。
「武蔵さん、今日はどうされたんですか?」
「実はな、最近俺達の周りが騒がしてギルドからの勧誘が凄いんだ」
「有名になると探索者はそうなりますよね。陸の所にもよくそんな話をしてくる人が居て、学校側が対処してるのを見ました」
「それで俺達はギルドを建てようと思うんだ。その為にはまだ人数が足りなくて、その足りてない枠に真を誘いたくて今日は呼んだんだ」
回りくどい事はせず、俺は直球でそう真に聞いた。
真はそんな事を俺から言われるとは思ってなかったのか、動きが止まってしまった。
「はっ! えっ、あのどうして俺なんですか?」
「そりゃ、俺達が知ってる探索者の中で現時点で実力があって、何処にも所属してないってなると真だし、それに智咲から聞いてるけど魔法の方も大分使えるようになったんだろ?」
「はい。一ノ瀬さんには凄く力になってもらって、苦手だった魔法が一つの武器にはなりましたけど……本当に俺で良いんですか?」
「パーティーで話し合って決めた事だからな、まあ真が嫌ならこの話は聞かなかった事でも良いけど……」
そう俺が言うと、真は「嫌じゃありません!」と食い気味でそう叫んだ。
その声に雄二さんから注意を受けた俺達は、雄二さんに謝罪をして一旦落ち着く事にした。
「ちなみに最初は、パーティーに臨時で入ってもらって動きを確認しようと思ってる。正直、落とす気はないから気を楽にして一緒にゲートに潜ってほしい」
「パーティーに正式に入るには、段階を踏むのが当たり前なので分かってますので大丈夫です。ちなみに役割はどこに配置されますか?」
気を楽にして来て欲しいというと、真はその事を理解してくれた様で自分の配置される場所を続けて聞いて来た。
「前衛のアタッカーだな、その方が真の力を発揮できるだろ?」
「はい。ですけど、武蔵さんがいるのに前衛のアタッカーって必要なんですか?」
「俺も一人で左右同時に攻撃なんては出来ないからな、片方を今は陸が止めたり智咲の魔法で相手をするやり方をしてるが、前衛のアタッカーが増えたらもっと楽に戦えるだろうと考えてる」
「成程……分かりました。武蔵さんに並ぶ事は直ぐには出来ませんが、足を引っ張らない様に頑張りたいです。これから、よろしくお願いします」
真は俺に向かって頭を下げ、そう言ったので俺も「これから、よろしく頼む」と言った。
その後、会計を済ませた俺は真を連れてパーティーハウスへと向かった。
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