第43話 【運び屋・3】
話し合いの最中、レベル上げも確かに必要だがそれ以上に今は体を鍛えた方が良いという事になった。
一ノ瀬家に救出されてから、それなりに体は動かしていたらしいが最悪な環境で生活していて、それだけでは足りない。
「体の鍛え方ですが、良かったから俺が教えましょうか? その方が早く慣れてくれると思いますし」
「そんな事までいいんですか? ただでさえ、自分のレベル上げで時間を奪うのにそんな事までしたら、もっと時間が無くなりますよ」
「大丈夫ですよ。それにこんなに良い物を頂きましたから」
俺は受け取った指輪を持ちながらそう言い、場所に関してもパーティーハウスの訓練室を使う事にした。
「そう言えば、今は何処に住んでるんですか?」
「一ノ瀬家と神代家がお金を出し合って用意された特別住宅に住んでます。元々は、施設出身だったんですけどその施設自体、事件が関係していたみたいで無くなってしまったんです」
「あっ、すみません。そんな事は知らず聞いてしまって」
「いえ、大丈夫ですよ。元々、施設の人達に対していい感情はもっとなかったので、今回の事で縁が切れて良かったと思ってるんで」
地雷を踏んでしまったと思った俺は、直ぐに謝罪をすると天野はそんな風に平気だと言ってくれた。
「でしたら、住む場所に関してもこちらで用意しましょうか? パーティーハウスには余ってる部屋が沢山あるので、多分今よりかは生活がしやすくなるとは思いますよ」
「えっ、住む場所までもですか?」
「はい。そちらの方が都合がいいと思いますし、その方が俺のパーティーとの話す機会も増えると思いますので、早く慣れるかなと」
「……分かりました。その、よろしくお願いします」
その後、荷物に関しては明日までにはまとめるので引っ越しは明日すると言って、今日は解散となった。
「へ~、って事はようやくこの建物に新しい住人が入るって事ね。それはそれでよかったわね」
「それでも、部屋は余るけどね。いつかここの建物の部屋が全部埋まる日なんて来るのかな」
「ギルドを建てたとしても、巨大ギルドと呼ばれてる所並みに人が増えたら埋まりそうですね」
「まあ、埋まったとしてもまだ土地が余ってるから同じような建物を作れるから、更に人は増やせるけどな。って、建物については良いとして皆も天野をパーティーハウスに連れて来る事に反対はしないんだな?」
パーティーハウスに帰宅した俺は、待機していた智咲達に話し合いの結果について伝えた。
その際、天野をパーティーハウスに住ませる事も伝えたが、特に反対意見は無くそう再確認をした。
「武蔵君が判断したんだから、反対する理由はないかな?」
「俺も同じですね」
「私は近くで彼の力を見たいし、武蔵の判断に反対処か褒めたいまであるわよ。訓練を教える代わりに、空間魔法を教えて貰えないか交渉でもしようかって今も考えてるもの」
俺の質問に対して、三人はそんな風に答えた。
式守姉弟は俺の居件だから良いと言って、智咲は【時/空間属性魔法】をどうにか襲われないか考えているみたいだった。
「じゃあ、取り合えず明日には天野が引っ越しをしてくるから、一部屋使える段階まで準備しないとだな」
そう言って俺達はそれぞれ役割を分け、天野が使う部屋を片付け日用品や家具を搬入してその日一日過ごした。
翌日、天野を迎えに行った俺はタクシーに乗ってパーティーハウスへと連れて来た。
「大きい場所とは聞きましたけど、こんなに大きなパーティーハウスをもう建ててるんですか?」
「まあ、色々と稼げましたから、取り合えず中を案内しますね。その後にパーティーメンバーと、俺達の家族を紹介します」
「はい。お願いします」
それから俺は、天野を連れてパーティーハウスの中を案内してまわった。
その際、久しぶりに初見の反応をする人を見て、俺はそんな反応を楽しみながら案内をした。
そして最後に天野が使う部屋へと案内すると、色々と驚き過ぎて疲れてる様子だったので少し休憩する事にした。
「こんなに凄い建物とは、昨日の時点では思いもしませんでした。この部屋誰かと使うんじゃなくて、本当に一人で使っていいんですか?」
「勿論です。その為に昨日、パーティーメンバーと一緒に用意をしたので、是非使ってください」
そうして部屋で少しだけ休憩をした後、パーティーで使ってる部屋へと天野を案内し、先に部屋で待機していた智咲達を紹介した。
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