第42話 【運び屋・2】✤
それぞれの親達は、子供達からの子供に凄く喜んでくれていた。
勿論、俺の親もそうで新しい靴を貰った父さんは、直ぐに前に使ってた靴を捨てるけ決断をした。
実際、既に靴の底が取れそうだったりしていたらしく、履けるけど買いに行くのが面倒だからとそのままにしていたと言った。
「智咲、運び屋から連絡が来たぞ」
「ッ!?」
親達へのプレゼント渡しをしていた俺は、スマホの通知が鳴り確認するとその内容に驚きつつ、智咲にその事を伝えた。
智咲は驚いた声を出そうとしたが、何とか耐えた様子で変な顔をしていた。
その後、俺達は親達に急用が出来たと伝えて、パーティーの部屋へと移動した。
「武蔵君、どうしたの?」
「実は、以前から接触をしたかった探索者から連絡が来た」
その言葉だけで、杏奈と陸も察してくれた。
「それでなんて来たの?」
「自分の中でどうするか悩んでいたらしい。ずっと一ノ瀬家に守ってもらっていても意味がないと考え、自分の力で自衛できる力をつけたいと。そこで俺が協力すると申し出ていたから、連絡が来たという訳だ」
「成程、武蔵が神代家の人間だった事は知ってるの?」
「勿論だ。一ノ瀬家から俺が動いた事で、事件が解決した事も知ってるから俺が神代家だった事に関しては問題は無いとは思う」
彼については俺も丁寧な対応をしないと、今後の探索者として活動に色々と影響が来てしまう。
だから過度にこちらから連絡をしないように、相手から来るのをずっと待ち続けていた。
「念の為、彼との話し合いは俺だけが行くつもりだが大丈夫か?」
「ええ、確かまだ人に対しての恐怖が抜けてないんでしょ? そんな人に大勢で会いに行ったら、嫌われに行くようなものだしね」
「私達のリーダーである武蔵君が行くなら、何の問題は無いと思うよ」
「俺も同じくです」
事件の後遺症で対人恐怖症となっている彼は、一人二人までなら話す事は可能。
しかし、それ以上となると直ぐには無理で話し合いをする為、俺は一人で行く事を智咲達に伝えた。
それから数日後、俺は一ノ瀬家が用意した会議室へと一人でやって来た。
「初めまして、C級探索者として活動をしている神代 武蔵です」
「は、はじめまして
後からその部屋に一人の男性が入って来た。
黒髪黒目で、背丈は160㎝と俺や陸と比べると背が低く、体つきも細かった。
事前情報によると、俺よりも二つ歳が上で今年で高校を卒業する年齢。
「一応、連絡していただいた内容は読んでいるのですが俺のパーティーに一時的に入り、レベル上げをするというのが目的で合ってますか?」
「はい。図々しいお願いだと自分でも分かっているのですが、こんな事を頼める信頼が置ける方が神代さんしかいないので……」
「大丈夫ですよ。俺自身、縁は切ってるとはいえ本家がやってしまった罪滅ぼしも兼ねて、何でも協力するとお伝えしていますので、自分を責めなくて大丈夫ですよ」
今にも泣きだしそうな彼に対し、俺はそう落ち着くように宥めた。
そこから念の為、彼の現在の能力を聞く事になった。
「一番いいのはステータスを見る事なのですが、それは難しいと思うので主要なスキルだけでも教えて頂けますか?」
「あっ、神代さんなら自分のステータスは見せますよ」
そう言うと、彼は俺が止める間もなく自分のステータスを俺に見せて来た。
助けた事で信頼はされてるとは多少思っていたが、ここまで信頼されるてるとは思いもしなかった。
俺はそんな事を内心思いつつ、彼のステータスを確認した。
✤
名 前:
年 齢:18
性 別:男
レベル:5
筋 力:50
体 力:30
魔 力:150
敏 捷:20
・固有能力
【空間の申し子】
・スキル
【時/空間属性魔法:2】【風属性魔法:1】【魔法強化:1】
・加護
【時空神の加護】
✤
ステータスを見せて貰った俺は、一つだけ質問をした。
「固有能力について何ですが、どの位把握してますか?」
「えっと、そこまで詳しくは自分でも分かってないんですけど、小さな空間に対してアイテムバッグの様に空間を広げたり、そもそもアイテムバッグを作る事が出来ます」
「それ以外には使ってない感じですか?」
「はい。でも、それ以外の用途も何かあるなとは自分でも思ってるんですけど、まだ探せてないです」
成程な、多分この固有能力が〝運び屋〟として名を馳せた能力だろう。
制限があるゲートに何度も入れる事も凄い事だが、そもそも現時点で分かってる能力も凄い能力だな……。
「あっ、そうだ! これ今回の依頼のお礼の品です。お金とか自分はまだ持ってないですし、こちらの方が喜ばれるかなと思いまして」
そう言いながら、彼は空間の中に手が入り込むと複数の指輪を取り出した。
「……もしかして、これはアイテムバッグに似た能力が付いた指輪ですか?」
「はい! 自分の手にも同じのを付けてるんですけど、いつでも直ぐに取り出せる様になってるんです。ただまだ自分の能力が低くて、中に入れられるのはそこまで多くはありません……」
「いえ、大丈夫ですよ。では、話の続きに戻りましょう」
また落ち込みだした彼をそう言って止めた俺は、それから二時間程これからの日程について話し合いを行った。
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