第40話 【C級ゲート・4】


 初のC級ゲート探索から数日が経ち、俺達は攻略がされたC級ゲートに通い続けていた。

 焔からの連絡があったからというのもあるが、今の俺達にとっていい狩場でもある為、入れるうちに入っておくことにした。


「たった数日なのに、また沢山稼いだわね。これでまた新しい服が買おうかしら」


 智咲はここ数日の収入を見て、笑みを浮かべながらそう言った。


「流石、C級といった所だな。今までよりも更に素材が高値で買い取ってもらえるからな」


 この数日間、狩りを中心的に行いつつ、金策も並行して行っていた。

 主な金策としては、ゲート内で採れる素材の採取。

 狩りをしながらだから、時間的にみたらそこまで効率は良くは無いが安定している。

 そんな日々を過ごしながらも、俺と陸は訓練室での訓練は欠かさず行っている。


「武蔵さん、お金って何に使ってますか?」


「金か? まあ、基本的に貯金はしてるけど趣味の漫画とかに使ってるな、それがどうしたんだ?」


「探索者をちゃんとするようになってお金を稼げてるのは良いんですけど、沢山貰いすぎてて何に使ったらいいのか自分でも分からなくなっちゃったんですよね……」


 陸はそう言うと、自分の口座残高を見せて来て確かに俺が渡してる報酬の殆どが使われるず、そのまま口座に残っているのを確認した。


「陸はまだ中学生だし、好きな物とか沢山あるんじゃないのか?」


「最近の趣味は鍛える事で、パーティーハウスになんでも揃ってるから必要ないんですよね……元々、服とかアクセサリーには興味がないですし」


「ふむ、だったら娯楽に使うのはどうだ? 俺は良く、移動時にも暇を潰せるように電子漫画を大量に買ったりしたり、家でゆっくり読む為に本でも揃えたりとしてるぞ」


 今の俺達は移動がかなり長い為、その間の時間を潰す為に俺は電子漫画を大量に買ってある。

 正直、回帰前に見た事のある漫画も沢山あったが、何十年も前の記憶で初めて読んでるような感覚で楽しんでる。

 そして家でもゴロゴロしながらみたい俺は、同じ漫画を実際の本で揃えている。


「漫画とか、偶に読んではいるんですけど色んな作品を読む程、好きって訳じゃないので……」


「……別に使わなきゃいけないって訳ではないけど、折角お金があるなら使いたいけど使い道が無くて悩んでるって感じか?」


「そう言う事です。ここ数日は特に収入も増えて、折角なら何かに使いたいと考えたんですけど、その何かが思い浮かばないんですよね。装備に関しても、パーティー貯金をしてるのでそこから出ますし……」


 報酬の分配方法として、俺達は5等分にして一人分をパーティー貯金としている。

 その貯金の使い道としては遠征の費用だったり、装備品や探索時に使う消耗品等のお金として残してある。

 だから個人で欲しい装備が無い限りは、そのお金があるから装備にもお金が掛からない。


「そう言えば、陸はゲームが好きだろ? 色んなゲームを集めたりするのはどうだ?」


「ゲームを買い集めても良いと思うんですけど、それをやる時間を作るのが難しいと思うんですけど……」


「まあ、確かにな……基本的にゲートに潜ってるし、それ以外は訓練してるからな」


 陸も俺も基本的に同じような生活スタイルで、どれだけ訓練に時間をかけているのか俺が一番よく知っている。

 漫画の様に移動する際の隙間時間で消費が難しい、ゲームを集めてもやる時間が無いのは必然。

 スマホゲームなら隙間時間で時間は潰せるけど、課金しててもやり込みたいゲームは今の所はないと陸は言った。


「後はあれだな、自分に使うのが難しいなら両親とかに何かプレゼントとかはどうだ? これは俺や智咲もよくやってて、喜んでる姿を見るともっと頑張ろうと思えるから良いと思うぞ」


「両親へのプレゼントですか……その考えはなかったです」


「両親って子供からのプレゼントは、基本的に何でも喜んでくれるからな。やって後悔する事はないから、特に欲しい物が無くてお金が有り余ってるならやってみても良い思うぞ」


「そうですね。その、どんなプレゼントをしたらいいか分からないので今度の休みの日、一緒に見に行ってくれませんか?」


 陸からそんなお願いをされた俺は、特に断る理由も無いので了承した。

 その後、人が多ければいいだろうと智咲達にも話をしたら、二人も一緒に行く事になり今度の休みの日は皆で買い物に行く事になった。

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