第27話 【二学期の始まり・3】
あれから一時間程、訓練室で体を動かしていたが智咲達が戻って来る事は無く、俺も汗を流す為に風呂に入る事にした。
一応、智咲達が無駄に探さないようにグループに風呂に入ってくると送り、俺は風呂場へと向かった。
「金掛けた部分とはいえ、これが普通に入れるとはな……」
大浴場とは別の個人用の風呂場、大人が3人は並んで入れる程の広さをしている。
その為、身長の高い俺でも足を延ばして楽な姿勢で入れている。
「これがこの建物の普通の風呂場で、大浴場もあるんだもんな……そっちも気になって来たな」
布施を流す為に風呂に入りに来ていた俺だったが、この建物の風呂の良さに気付いて大浴場で入り直す事にした。
そして移動して来た大浴場は広々とした空間に二つ、外にも露天風呂が作られている造りとなっている。
中の風呂に関して、一つは水風呂となっていてこの大浴場に作ったサウナで使うようの場所で、いつでもサウナに入り放題。
「うん。これは完全にやり過ぎたな、金があるからって詰め込み過ぎた」
二度目の風呂から戻ってきた俺は、大浴場があるフロアに作った休憩室でコーヒー牛乳を飲みながら反省した。
風呂場と訓練室だけでこれだけの満足度、他にもゲームコーナーだったり個人の部屋にも金を掛けていたりする。
さらに言えば、まだこの建物には色々と施設を取り入れている。
「これは早く仲間集めをして、人を多くした方がこの建物の為にもなるな……それまでは俺達の家族を住ませてもいいかも知れないな、正直このレベルの建物なら実家で過ごすよりこっちで過ごしてくれた方が安心度が違うしな」
「それは私も思うけど、両親が自分達で建てた家をそんな簡単に引っ越すかしら?」
「私の家族、智咲ちゃんレベルじゃないけどお風呂が好きだから、あの大浴場を見たら住みたいって言いそう……」
智咲達は俺よりも先に大浴場へと移動して来ており、十分堪能して休憩室の方に来て合流した。
そしてこの建物の満足度を俺達は認識して、自分達だけで使うにはあまりにも勿体ないと感じた。
「仲間だけど、候補とかは考えてるの? 私の時は、サポートが欲しくて連絡をしたんだよね」
「そうだな、俺と智咲はどちらも攻撃系だから、サポートしてくれる人が一人いたら楽だと思ってな……このパーティーに必要な人材か、強いて言うならタンク役か?」
今の俺達のパーティーは、前衛1後衛1支援1という全部一人ずつの構成。
後衛に関しては、魔法に関して回帰前も世界でトップクラスだった智咲が居るから、無理に増やす必要はない。
「そう言えば、武蔵君達はギルドってどこかに入るの? それとも、自分達で作っちゃうかんじ?」
ギルド。
大規模な探索者の集団で、最低5人の探索者が集まればギルドの申請が出来る。
個人やパーティーには来ない様な大きな仕事が出来るようになり、ギルドが大きくなればゲートの管理等も出来るようになる。
一ノ瀬家もこの制度を使って、多くのゲートの管理を行っている。
「ゲートの管理か、まあやれたらいいけど面倒な仕事もついて来るからな……」
「そこはそれ担当の人とか雇えば良いんじゃない? 最悪、県外への派遣とかはギルドにすればある程度は緩和されるって聞いたけど、どうなのかな?」
「無くなりはしないけど、減るっては聞いた事があるわね……でも、今井先生がアカデミーの講師でどうにか県内に住むようにしてるって事は、あんまり意味がないんじゃないかしら?」
俺と智咲は、回帰前ではギルドには入らず二人で行動していた。
その為、ギルドに対する知識があまりにも少ない。
「どうなんだろ、明日アカデミーで今井先生に聞いてみる?」
「そうだな、探索者として分からない事を学ぶのがアカデミーだし、明日今井先生に聞いてみるか」
そうして話は終わり、それぞれ家に帰宅する事にした。
帰宅後、普段だったらすぐに風呂に入りに行く俺がリビングにそのまま来た事に母さんが不思議に思い、外で風呂に入って来たのか聞かれた。
「ほら、前に言ってたパーティーハウスが出来たんだよ。そこで試しに風呂に入って来たから、家で入らなくてもいいかなって」
「あ~、言ってたわね。ゲートに潜り過ぎてお金が余ってるから作るって、どうなのその建物は?」
「一言で言えば、最高だね。皆で案を出し合って作っただけあって、満足度が高くてやって良かったって思ってるよ」
感想を聞かれた俺は、そう母さんに言うと隣に父さんから「いつか招待してくれよ」と冗談交じりに言われた。
「別にいつ来ても良いよ。なんなら、折角作った訳だし智咲の両親と式守の両親を招待して、三家族でパーティーしてもいいかもね」
「……そんなに広いのか?」
「広いよ。マンションタイプだし、なんなら居住区以外の所には訓練室とか大浴場とか色々と作ってるからね」
「訓練室、大浴場? 一体、どんな建物を作ったんだ?」
俺の言葉に父さんは困惑し、母さんも首を傾げていた。
そんな両親の反応を見て、俺は夕食後にグループの所で智咲と式守に三家族でのパーティーを提案した。
すると、二人の家でも俺の両親と似たような反応をされたみたいだった。
口頭で説明するのも難しいし、それぞれの家族を招待するのも時間が掛かる為、それならパーティーに呼んで披露しようという話になった。
それから一時間程、色々と必要な物を三人で案を出し合い。
両親達にもそれぞれ予定を聞いて、今週の休みにパーティーを実施が決定した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます