第5話 【最初の仲間・1】
やって来たのは都心から少し離れた山の麓。
ここは2年前にゲートが現れ、そのゲートのランクは最低ランクと付けられた。
ゲートのランクの付け方は、発見されたゲートを探索者協会が所有している計測器で中の魔力濃度を探知するというやり方。
それによって、探索者のランクでもある6つの段階。
S、A、B、C、D、Eに分けられ、ランク以上のゲートへは基本的にそのランクの探索者がパーティーに居ないと入る事は出来ない。
「最低ランクのゲートだけど、油断せずに行こう。ゲートの中では何が起こるか分からないからな」
そう俺は言って、ゲートを管理してる探索者協会の職員に免許証を見せて中へと入った。
ゲートの中は様々な環境が存在する。
平原、氷山、火山、洞窟等、様々な環境の空間に繋がっていて探索者はそれらの環境に負けずに攻略しなければいけない。
「ここは洞窟みたいですね」
「比較的攻略しやすい場所だな」
今回のゲートは洞窟。
明かりさえあれば、比較的攻略がしやすいが構造が入り組んでいたりすると、奇襲されやすく警戒は解けない。
「それじゃ、式守頼めるか?」
「はい。ではマッピングを始めますね」
式守の持つスキルは大きく分けて二つある。
一つは属性魔法の【風属性魔法】、【水属性魔法】の二つ。
そして二つ目は、サポート系スキルの【マップ】、【鑑定】、【結界】の三つ。
「道はあっちが奥に続いてるみたい」
式守の持つスキルの一つ【マップ】は、ゲートの中では重要なスキルの一つ。
特にこういった洞窟型の場合、【マップ】のおかげで変な道を選択せずに先に進める。
罠に関しても【マップ】に表示される為、【鑑定】でどこにあるか確認してスルー出来る。
最後に残った【結界】もスキルレベルによるが、敵からの攻撃を守れるので後衛の智咲を守る壁役にもなれる。
「式守は何でこんな有能なスキルを三つも持ってるのに、魔法使いの勉強をしてるんだ?」
「その、やっぱり魔法使いってカッコよくて憧れじゃない?」
式守は若干顔を赤くして、そんな子供の夢みたいな感じの理由を話した。
「そうかしら? 私は魔法の素質があったから魔法使いになってるけど、サポーターも凄く立派だと思うわよ」
「俺もそう思う。正直、サポートスキルは入手難易度も他の職に比べて段違いだからな……」
「そうね。【鑑定】スキルなんて持ってるだけで探索者協会に入社出来るレベルのスキルだもの」
「えっ、【鑑定】ってそんなに凄いスキルなの?」
智咲の言葉に式守は、少し驚いた反応をした。
「知らなかったの?」
「うん。魔法使いかサポーターかで迷ってて、スキルの事を調べたりしなかったから……」
「結局の所、魔法使いを選ぶかサポーターになるかは式守次第だけど、スキルの事を考えるとサポーターを俺達は勧めるよ。魔法も使えるサポーターは貴重な存在だからな」
そんな風に言った後、俺達は魔物と戦いながら洞窟の奥へと進んでいった。
道中出て来た魔物は、洞窟型に多く生息する〝ゴブリン、スケルトン、洞窟コウモリ〟の三種類。
「武蔵君と智咲さん、噂で聞いてた通り凄いね」
ゲートに入って三時間程が経ち、俺達は安全な場所で休憩をしている。
俺と智咲だけなら休憩なんて要らないが、今回は式守が付いてきてくれているので休憩を取る事にした。
「噂って、俺達そんな噂が流れるような事ってしてたか?」
「元々が有名な家系だから、武蔵君も智咲さんもアカデミーだと有名だよ? それにほら、入学後の最初の実技試験で武蔵君試験官の人を簡単に吹き飛ばしてたでしょ」
「あ~、そう言えばそんな事もあったな」
試験の事なんて何十年も前の事で忘れていたが、式守の言葉で少しだけ思い出した。
アカデミー入学後の最初の試験、筆記に関してはボロボロだったが実技の方で満点を取った。
その際、俺は試験官をしていた先生を盛大にぶっ飛ばしてしまった。
「そんな事もあったわね。それにあの後、色んな運動部から凄い勧誘を受けてたわよね」
「あったあった。本当に面倒で授業が終わったら、教室からそのまま外に飛んで直ぐに家に帰ったりしてたな」
元々神代家の人間ってだけでも有名になる材料があった上に、入学して直ぐにそんな事をしでかした。
その結果、多くの人に注目されて二学期まで平穏なアカデミー生活を送れなかった。
「それで言うと智咲は問題事は起こさなかったよな」
「私は武蔵みたいに派手な事はしてないし、魔法が上手いのも一ノ瀬家なら納得させられたしね」
「俺だって好きで派手な事をした訳じゃないんだけどな……」
その後、休憩を終わりにして探索を再開した。
ボス討伐まで行けそうではあったが、まだパーティーを組んで初日なので今日は半分の所まで行って引き返す事にした。
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