第3話 【回帰・3】
「武蔵君、どうしたの何か気に病む事でもあったのかい?」
ステータス見終わると、丁度そこに注文した物を持って雄二さんが現れた。
「いや、大丈夫です。心配してくれて、ありがとうございます」
心配してくれた雄二さんにそう言って、届いた商品を口に入れて気持ちを切り替える事にした。
「まあ、一旦スキルの事は置いておくとしてゲートに行くならサポーターはどうする? 雇うか、知り合いに頼むかだけど」
探索者としてゲートに入る際、基本的には最低人数は三人だと言われている。
前衛、後衛、そしてサポーターの三人。
そんな中、俺達はというとサポーターを雇うのが面倒。
そう考えていた俺達は、サポーターの役割を二人で分担して二人で色んなゲートを探索していた。
しかし、今の俺達は能力も低くなってるし、装備も基本装備しかないからそんな冒険は出来ない。
「……そう言えば、私達と同じクラスの子に卒業後に凄いサポーターになった子いなかったかしら?」
「あ~、たしか
彼女は学生時代はそこまで名が通ってない生徒だったが、卒業後にサポーターとして世界で活躍をしていた。
彼女の記事を偶々見た際、学生時代は魔法使いかサポーターかで迷っていたらしく、そのせいで活躍出来なかったと書かれていた。
「式守は確かにありだな、確かこの時期の俺達とも面識があった筈だよな?」
「そりゃ、同じクラスだしあるわよ。一応、連絡先は私が持ってるからちょっと聞いてみるわね」
智咲はそう言ってスマホを取り出し、パパッと式守に連絡を入れた。
それから少し、ゆっくりと過ごしていると智咲のスマホの通知音が鳴り、式守から連絡が返って来たみたいだ。
「どうだった?」
「良いって、でも行く前に作戦会議をしたいって言ってるわね。どうする早い内に行きたいし、今からここに呼ぶ?」
「来れそうなら来て欲しいけど、無理には呼ばなくていいぞ」
そうは言ったが智咲が連絡を入れると、それから20分程経った頃、カフェに一人の女性が現れた。
身長は160㎝程で、明るい茶髪を肩辺りで揃えているその女性は真っ直ぐと俺達の元へとやって来た。
「それでどうして私に連絡が来たんですか?」
現れた女性は俺達が連絡を入れた式守だった。
式守は俺達の席に着くと、呼び鈴を鳴らして注文をすると早速俺達が連絡を入れた理由を聞いて来た。
「ゲートに行こうと思ったのよ。夏休みに入って、暇だなって感じて勉強はする気が起きないから、それならゲートに行こうかってなったのよ」
「……神代君と一ノ瀬さんらしい理由ですね。勉強も訓練も嫌いだけど、勉強の方が嫌いってイメージを私は持ってましたけど、そのまんまですね」
式守はそう言うと、ゲートへの参加について智咲が聞くと「行く」と返答を貰った。
「正直な話、私もゲートには行きたいと考えました。ですけど、誘う相手も居ないですし、探索者協会の方で探しても学生ですからそんな直ぐには見つからないと思って諦めてたんです」
「それは良かったわ」
それから式守が注文した品が届くと、俺達はゲートの計画について話し始めた。
まず今の俺達は探索者としては一番下のランク。
その為、行けるゲートにも限りがある。
「一番いいのはアカデミーが用意してるゲートに行くのが良いけど、あそこは人が多いだろうからな……」
「アカデミーが用意してるゲートは止めた方が私も思います。夏休み前の時点で、既に多くの方達が予約をしていたので今すぐに連絡を入れても、夏休み中に入れるかも怪しいです」
「だとしたら、普通に探索者として活動しながらゲートに行くのが良いな。式守は探索者免許は持ってるよな?」
「勿論持ってますよ。アカデミー生で持ってない人はいませんから」
式守はそう言いながら、自分の免許証を見せてくれた。
確認後、それぞれの配置についての話になった。
「俺が前衛、智咲が後衛、それで式守にはサポートを頼みたいんだけど大丈夫か?」
「……サポートか~、呼ばれた時点で薄々気付いてたけど」
「駄目そうか?」
そう尋ねると、式守は首を横に振って「大丈夫。サポート任せて」と笑みを浮かべて言った。
「いいのか?」
「うん。正直、今は後衛の訓練してるんだけど入学前からサポーターか後衛。どっちを学ぼうか迷ってたんだよね。それでいい機会だし、してみようかなって」
「そうか、それは俺達としては有難いよ」
そうして式守が三人目の仲間として加わり、ゲート探索のパーティーが完成した。
それから話はどのゲートにいくかだが、まずはこの三人の連携もみたいという事で一番ランクの低いゲートに行く事にした。
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