第19話

 巻き込み事故っていうものは、巻き込まれた側にも非があるのかな……。


 バランスポールに乗って、ゆらゆらと不安定に揺れる下着姿のリサ。

 それをローアングルから撮れというオーダーがあるので、その通りに撮らなければならないのだ。カメラを近づけているのは僕だけれども。ゆらゆら揺れる様子は今にも倒れそうだ。

 もしも倒れてしまうのであれば、できれば僕のことは避けて欲しい……。


「これ、難しいよー……。おっとっと……っとーーーーおぉぉっっ!!」



 バランスボールに乗ったリサが、僕に向かって倒れてくる。流石に危ないと感じたため、持っていたカメラを離してリサを受け止める。……が、勢いあまってそのまま押し倒されてしまった。


「痛ったぁー……」


「だ、大丈夫ですか?」


「うん、大丈夫ー」


 倒れた僕の上に、リサが覆いかぶさる形だ。相変わらずの柔らかさが、僕の身体の上でぽよんと跳ねる。人肌の温もりを再び知れたような気がする。

 ふっと上半身だけ起き上がらせたりサが僕に謝ってくる。


「ごめーん……。私、こういう運動は苦手なんだよね。このペナルティ、意外と難しいよー」


「んっ!」


 バランスボールの横で返事をするミク。

 食べ途中のチューペットを胸の谷間に挟んだ。もちろん手で直接触れずに、自分の胸を押さえることでチューペットを胸の間にキープしている。空いた口でルールを説明してくれる。


「手を使ってしまったペナルティ。チューペットを床に落としたとしても、手を使ったらダメ」


 勝負の序盤、リサはチューペットを持ち上げるのに失敗して落としてしまったのだ。それを拾う時に、手を使ってしまったことでペナルティが課されたのだ。確かに「手を使ってはいけない」というルールだけれども、落としたとしても例外は無いらしかった。

 ミクは部屋にあったバランスボールを指して「手を使ったら、これに乗りながら食べて」と端的に述べた。最初からルールを考えていたのかは不明だが、勝負が止まることなく進行していった。



 あらためてルールを伝えたミクは、器用に胸を寄せた上げることで胸の谷間のチューペットをヌルりと上に動かす。そして、再びチューペットをぱくりと口に含んだ。


 チューペット早食い競争は、ミクによりルールが追加されていく。「勝負が長引くから」と、手を使わずに持ち上げて食べることが今の条件だ。チューペットが身体に触れることで、より早く勝負がつくことが目的らしい。



「もちろん、今落としたチューペットも手を使って拾うのはダメ」


「はーい」


「恭介くんは、早くカメラ持って撮って」


「はいっ!」


 すごく敏腕ディレクターが仲間になってくれたようだ。ただ、人使いが荒いかもしれない。これに付いていくのは一苦労しそう……。



「チューペットはどこに行ったかな……? あっ、あったあった」


 リサがバランスボールから落ちた時に、チューペットもー緒に落としていたらしく、それは僕の下腹部にあるようだった。


「口だけで取らないと……」


「え、え、えぇぇーーっ!! ちょっと待って下さい、ちょっとだけ待ってぇぇーーーっ!! 僕が取るからーー!」


「恭介くんは文句言わずに、ちゃんと撮って」


 撮影係の僕に発言権は無いらしい。僕の下腹部へとリサが顔を寄せていくのを、黙って撮るしかない。

 リサは僕に触れないようにと気を違ってくれているようで、ゆっくりゆっくり近付いてくる。リサの息遣いが僕の下腹部を温めていく。


「ハァ……。これ難しいね……?」


「は、はやく取って欲しいです……」


 下腹部目掛けて、ぽよんとした胸を脚の方からズズズーっと近づけてくる。僕のアングルから見ると、胸の谷間しか見えない。リサは胸の谷間でチューペットを押さえようとしているようだった。

 ぽよぽよと僕の太ももに柔らかさが伝わる。


「はやく……」


「ちょっとあせらないでよ……?」


「じ、らさないでください……」




 ぽよぽよ。


 ぽよぽよん。




「はむっ!!」


「ひいっ……」


 リサはチューペットを咥えた。今度は落とすまいと、しっかりと胸でも握っているようだ。口で咥えながら胸の谷間に押し込んでいく。チューペットは谷間をぬるぬると滑るように押し込まれていく。気合いが空回りしているのか、押し込み過ぎている気もするが……


「んんーっ!!」



 ――ちゅぱっ。



 案の定、口を離れたチューベットは胸の谷間を滑り落ちていった。そして、レースのネグリジェの中へと入っていった。透けたネグリジェの中で、チューペットがどこにあるかが見える。


 ネグリジェにより落ちるスピードがゆっくりになり、リサは太ももで挟んでキャッチした。ただ、冷たいようで、もぞもぞと閉じた太ももを動かしている。


「これって、脚を使うのはセーフだよね?」


 そう言いながら前屈をする。


 リサの身体が柔らかいのは知っていたが、とても器用だ。胸がダメなら脚で挟んで食べていくらしい。太ももに挟んだチューペットを口に含んだ。



「恭介くん、撮るのはこっちから」


 ミクからそう言われて、リサの後ろへ行けと促される。後ろからのアングルはセーフなんだろうか。撮るのが僕の仕事だから撮るけども……。


 リサは股の間から顔を出して、手を振ってくる。時折内股にして、太ももにチューペットを挟みながら吸っていった。


 どこまでがセーフなのか、僕にはもうわからないや……。

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