第18話
「あ、あんまりじろじろ見ないでね……」
「う、うん」
マナは恥ずかしそうに制服を脱いでいく。僕はカメラを構えて撮っていく。
見ないようにと言われても、撮るのが仕事なので撮らないといけない。マナは撮られるのを承知の上のはずなのに、毎回恥ずかしがるんだよな……。マナの様子を見ていると、僕の方も恥ずかしくなってくる。
マナが今日買ったのは、リサからオススメされた下着であった。
胸を守るための布が極端に小さい。三角形をキューっと中心に萎めた形だ。確かに恥ずかしい。激しく動いたら見えてしまいそうだ……。
もちろん下の布も小さいのだが、そこには触れないでおくことにする。多分アウトな気もする……。
「は……、早く勝負始めるよっ!!」
マナの口調はいつも通り強いままだけれども、下を向いてモジモジとしている。いたたまれない気持ちになるので、カメラの向きを変えてリサの方を映す。
リサはマナとは対照的に、布が多めであった。
「この勝負って、布面積が少ない方が有利なのかな? 体温を使って溶かして良いってルールなんだよね? もう少し布を少なめにしておけば良かったかも……」
マナが選んだようなババシャツでは無かったが、全身を覆うネグリジェのようなものであった。肌の露出は低めではあるのだが、全身が透けた黒いレース姿。守られるべきところの布は透けないようになっているが。おそらく、マナとリサの妥協点がこういう物だったのだろう。
この下着姿のリサを映しても、確かに垢BANはされない気もする。今日の下着姿で言うとすれば、マナの方が垢BANの危険性は高い気がする。
リサの全身を撮り終えると、ミクへとカメラを向ける。
「肌の露出が多ければ有利という簡単な話でもない。フェチ度が高い方が人気が出る可能性はある」
もっともらしい口調でしゃべるミク。もしかすると、一番過激な下着かもしれない。一番大人しそうな雰囲気をしているミクだが、それとは対照的にボンテージ姿をしているのだ。
大体の人の頭の中にある、『SM嬢』そのものと言った立ち姿。黒を基調としたレザーで出来た下着。
胸元はレザーに締め付けられて、しっかりと谷間ができている。そこから身体にぴたりと沿うように黒い革が続いており、おへその辺りから地肌が見える。そして、おへその下にはレザーの三角形。
三角形の横程から、ガーターベルトが見える。それで吊るされているのは、網タイツだ。太ももの中ほどまで伸ばされたタイツは、ずり落ちないように止められている。
「脱いだら、すごいんです」というのは、こういうことなのかもしれない。下着が小さいのか、細身に見えた身体はレザーに引き締められて、ムチムチに見えた。
「恭介くんって言ったっけ? 撮り方がなってない。ボンテージは下から撮るのが基本。蔑まれている感じが出るように」
「あ、はい……」
しゃがんでミクを取ると、本当に夜のお店で働いているのではないかと思える迫力がある。顔を斜めに傾けて、蔑むように僕の方を見てくる。こういうのは初めてだけれども、ぞくぞくしたものが込み上げてくるのを感じた。
ふと、ミクの表情が優しくなった。
「はい。とりあえず、イメージ撮影はこのくらいで良い。勝負に入ろう」
◇
「ルール説明はさっきの通り。何回もやると新鮮味に欠けるから練習とかは無しで一発勝負。負けた人は、恥ずかしいポーズで撮影とでもしておきましょう」
「「はいっ!」」
床に置かれたコップを正座をした女子が囲んでいる。コップにはチューペットが三つ立てられている。半分に折ってあるわけでは無く、一本丸ごとを食べるらしい。
「端を切り落とすから、そうしたら勝負開始。それでは、始めます」
そう言うと、ミクは三つのチューペットの端を切り落とした。編集の必要が無いくらいテンポが良すぎる。僕は一瞬も撮り逃すまいとカメラを向ける。
切り落としたチューペットからは液体が少しずつ溢れ出してきた。
「ルールは都度発表。まず初めのルール。この勝負は、直接手を使ってチューペットに触れるのは禁止」
「な、なにそれ!」
液体がコップに垂れてしまうため、三人とも慌てて床に置かれたコップのチューペットを咥える。マナとリサは正座の姿勢に戻ろうとしたが、手を使えないというのは予想外のようで、すぐにコップへと戻した。
どうする術もなく、ミクに倣うように床に手を付いてチューペットの先を頬張るように吸っている。
皆が真剣勝負をするのであれば、僕はそれを一生懸命撮るしかない。カメラを床に付けるくらい下げて、ローアングルで三人を取っていく。
手を使わないで、ずっと口に入れておくというのはしんどいらしく、息継ぎをするように少し離しては、また舐めてと繰り返していく。リサは垂れてくる髪が邪魔になるのか、髪を束ねるように集めて片方へと流す。その姿が、リサのセクシーさを際立たせていた。
「もしかして、なるべく深く口に入れた方が、すぐ溶けるんじゃない?」
そう言いながら、一番小さな口のマナが、頑張って口の奥の方まで咥えていく。「うぅ……」と唸りながらも作戦は上手くいったということだろうか、うっとりした顔を浮かべてカメラ目線になった。
「……おいちい」
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