第4話
夢中になって動画を撮っていたらしく、気付くと外は暗くなり始めていた。部活に入っていない僕にとっては、こんな時間まで学校にいるなんて初めてのことだった。
リサは撮られることが好きなのか、段々と気持ちが乗ってきたようで表情が妖艶になってきていた。辺りが暗くなってきたことで、夜の雰囲気を纏ったリサはさらに色っぽく見えた。
最終的には、ワイシャツもスカートも脱いでしまっている状態になっており、頬が高揚していた。
「恭介くーん。どうかな、結構取れたかな? それとも、見え過ぎちゃっているところも多いのかな?」
「……はい。いっぱい見せてもらって、僕はもうダメになっちゃいそうです」
リサの集中力が途切れたようで、リラックスしたような顔で笑い返してくる。
「見えちゃっているのかは、恭介くんだけじゃ判断できないか。見えてるところを後で教えてあげるから、じっくり確認してね」
「……は、は、はい?!」
「けどー。恭介くんが満足しているっていうなら、良い感じっていうことかもだよね。今日は、この辺りにしておこっか」
「すいません、男らしくなくて……。僕には、これでも刺激が強すぎます……」
「ふふっ。なるほどね。やっぱり恭介くんを選んで良かったかもだよ。私が見込んだ男子だけはあるねっ!」
リサは今日一番の満面の笑みを見せると、下着姿のまま階段を下りて僕の隣まで来た。何をするのかと凝視してると、すらりと長い手を上げて僕の頭を撫でた。
リサの動きによって、ふわっと甘い香りが漂ってきて鼻をくすぐってくる。今まで匂わなかったということは、これがリサの匂いと言うことだろう……。
「なんで鼻をひくひくさせてるの? 恭介くんって、なんだかワンちゃんみたいだね。なおさら、えらいえらいしたくなっちゃう」
「……ひゃい!」
本当に犬みたいに、はふはふと息が上がってしまう。頭を撫でるというだけの肌の触れあいだけれども、普段触られない部分を触られるということに、抑えられない興奮がある。目の前の同級生に、母性さえ感じてしまう。
それと同時に、リサの匂いが肺を満たして血中へと溶け込んでいく気がする。目から、肌から、鼻から、すべてからリサが僕に入り込んできて満たしていく。
トドメに、リサは耳から僕を満たしてきた。撫でていた手を僕の首の後ろへと回すと、唇を耳元へと近づけてきて囁く。
「……続きは明日にしようね?」
「……!」
僕は返事さえできずに、身体を震わせていた。もしも僕が犬だとしたら、嬉しそうに尻尾を高く立てて振っているところだろうけれども、人間の男子である僕は尻尾が無いので、違う部分を高く立てて振ってしまう。
全身の血液が一点に集まったためか、緊張がピークに達したためか、僕はその場に倒れ込みそうになった。
「あ、恭介くん! 危ないよ!」
倒れ込みそうになる僕のことを、下着姿のリサが抱きかかえてくれた。意図せず、リサの膨らみが僕へと触れる。制服姿で触れるよりも布が少ない分、柔らかな感触がより鮮明に僕を包んだ。
僕の限界を遥かに超えるような柔らかな刺激が全身を駆け抜けたかと思うと、僕は全身の力が抜けてしまった。
……何がというわけでは無いけれども、暗くて良かったと思った。
僕のことを支えきれなかったリサは、僕を階段へと寝かせて、上から乗ってくるような体勢になった。
「恭介くんも、もう限界だったんだね。お疲れ様でした」
リサは寝転がった僕に抱き着く形で、頭を撫でてくる。身体を支える手が無くなるため、リサの身体がダイレクトに僕に乗ってきた。リサは、僕の顔のすぐ横に顔を置いて、胸元から足先まで体重を乗せてきた。
全身の力が抜けていたところへ、程よい重みとともに柔らかな感触が降り積もってくる。僕はまた身体をこわばらせた。
「やっぱり、いきなりじゃ難しいよね。次は最後までできるようになろうね」
「……」
耳元で聞こえる声と、さらに強くなったリサの匂いを吸い込むと頭がおかしくなりそうだ。緊張で息を止めてしまっていたせいで、返事ができなかった。
リサも疲れているのか、僕の返事は気にせずに少し体重を預けたままでいた。少し休んでから、「よいしょ」と身体を起こした。僕の下半身に乗る形になり、その体勢でも一息ついている。
「ふふふ。もしかして、こういうアングルも良いんじゃないかな? 続きを撮るとしたら、こういう体勢から始めるのどうかな?」
「……は、はい、リサさんのりードのままに僕は動きます」
リサは満足そうな表情で立ち上がった。あらためてローアングルから見るリサのスタイルは、抜群に良かった。
「恭介くん、次はバッチリ決めようね!」
リサは階段を上っていく。赤い下着と、そこから少しはみ出している肉をカメラを通さずに、僕自身の目に焼き付けた。
「明日は、この続きから……? やっぱり続きがあるってこと……?」
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