第2話
見ず知らずな女子、リサに腕を引かれて連行されている。体育館裏から移動して校舎へと入り、誰もいない廊下を歩く。その間、ずっと腕を組んでるものだから、リサの柔らかい物がぽよんぽよんと腕の上を跳ねている。
いきなり、「エッチな動画を撮ってください」と言われたのだけれども、一体どういうことなのだろうか。なんでそんなことを言われたのか、見当もつかない。何も分からないまま、腕の上の柔らかさに誘惑されるまま連れていかれる。
リサはというと、嬉しそうに僕の腕にしがみついていた。告白に成功して嬉しかったのだろう、目が合うと「ありがとう」と言って笑いかけてくる。僕のことを騙しているようには見えないということは、リサはただの痴女なのかもしれない……。
階段を上ろうとした所、さすがに歩きづらかったのか、リサは腕を離した。僕を置いて階段を上がっていくリサ。その姿は、モデルさんかと思うくらいスタイルが良かった。すらりと長い脚を目で追ってしまう。
すたすたと上がっていく脚の動きに見とれていると、短め履いたスカートの中身が見えそうなところで、リサが振り向いてきた。
「何しているの? 早く行こうよ!」
「う、うん。そうだよね」
いくら過激な告白をしてきた相手だろうと、スカートの中身を覗くなんて、いけないことだってわかっている。いつもの僕だったら、すぐ目を逸らすけれども、さっきから強い刺激を受けていることで感覚がおかしくなっている。
リサは階段の途中で立ち止まって、小首を傾げて言ってくる。
「なんで来ないのー? 早く来てよー。私だって恥ずかしいのを我慢して、勇気出して告白したんだからね……」
傾きかけた日の光に、リサの頬が赤くなっているように見えた。その顔に、心臓がドキリと高鳴った。今日初めてリサのことは知ったけれども、女の子にこんな顔をさせちゃいけない気がした。僕も男だし、覚悟を決めないと。
「早くー……」
「わかりました! 行きます!」
階段を一段飛ばして上り、止まっていたリサも追い越して残りの階段も上がっていく。リサも僕についてくるように階段を上がってくる。
「ちょっとー、今度は早いよー! 人に合わせるってしないと、女の子に嫌われちゃうぞー?」
「あ、そうですよね。ごめんなさい」
階段を上がると、再度リサの方から腕を組んで来た。ぼよんと柔らかみが腕の上に戻ってきた。再び僕の身体がガチガチにこわばった。
「あ、あの、えっと……。そういえば僕たちって、どこに向かっているんでしたっけ……?」
「うーんとね。エッチな動画を撮るから、人がいないところが良いんだ。ちなみに、恭介君はどこがいいと思う?」
リサは、僕の顔を覗き込んで来る。さっきまで赤く染まって見えたリサの頬は元の色に戻っており、何も考えて無さそうな天真爛漫な笑顔を向けてきた。
「どこかリクエストはある?」
「えっと……、どこで撮りたいかってことですか?」
「男の子の意見も聞いておくのが良いかなって思ってね。どこでも好きなところ言ってもいいよ?」
「す、好きなところ……」
考えてもいなかった問いに対して、しどろもどろになっていると、リサは腕を引いて歩き出した。
「けど、いきなりは思いつかないよねー。とりあえず、私のプランで行ってみようか!」
そう言って連れていかれたのは、さらに階段を上った先にある屋上の入り口前の踊り場だった。
うちの高校では、屋上に出ることは基本的に禁止されているので、確かに誰も来ない場所である。そもそも放課後の校舎に人はいないけれども。念には念を入れてということだろう。
「ここなら誰も来ないし、見られる心配はないよね?」
「うん、僕もここに来たのは初めてだし、ここなら誰も来ないと思うけど……。ここって、かなり声とか響く気がするよ……?」
僕からの返事に、リサは満足そうに笑う。
「大丈夫だよ、声は出さないようにするからさ!」
リサがアブノーマルなことは予想していたけれども、いきなりこんな所だとは思わなかった。エッチなことをする動画を撮るわけだけれども、声を出すのを我慢するプレイというわけだ。僕の方が興奮して声を出してしまいそうだけども、決めたからには進むしかない。
息を整えようと深呼吸すると、漫画みたいにゴクッと音が出るくらい、生唾を飲み込んでしまった。リサはこちらを気にする様子はなく、自分のカバンから何かを取りだした。
「撮影するカメラは、これでお願いしたいな」
リサが取りだしたのは、家庭用のビデオカメラよりも一回り大きくしたようなカメラだった。テレビ番組でも撮影できそうなカメラだ。それを僕に手渡してきた。
「これだと綺麗に撮れるはずだから、しっかり撮ってね?」
僕にカメラを渡すと、リサは胸元についている赤いリボンを外し始め、ワイシャツのボタンを一つ取った。先ほどから気になっていた谷間を包んでいた布、すなわちブラジャーがあらわになった。胸のリボンと同じく、赤色をしている。
見てはいけないと反射的に目をつぶったが、その色だけが瞼の裏に焼き付いてしまい、目をつぶっているのにブラジャーが見えるようだった。展開を急ぎ過ぎてるリサを制止する。
「えっと、えっと。待って下さい! いきなり脱いじゃうんですか?」
「ん? そりゃあ、そうでしょ? エッチな動画を撮ってもらうんだよ?」
「けどけど、僕の心の準備がまだできてないです! やっぱりいきなりは早いです!」
さっき決断したと思っていたけれども、まだまだ決意が足りていなかったようだ。もっと強い気持ちを持たないといけないと思いながら目を開けるが、目の行き場が無くてあちらこちらと目が泳いでしまった。
そんな僕の姿を、リサは不思議そうに見てくる。
「私、結構自信あったんだけどな? このブラ、ダメかな? 私の一番大事にしているブラなんだよ? 勝負下着ってやつ。リボン付いてて可愛いんだよ?」
そう言われると、どんなブラなのか気になって見たくなってしまう。
「み、見ても良いんですか?」
「もちろんいいよ。今から動画撮ってもらうんだもん。もたもたしてたら、外が暗くなっちゃうよ?」
リサからの許可をもらったので、僕はリサの方をまじまじと見つめた。そこには、ワイシャツのボタンをすべて外したリサがいた。
ブラジャーは赤色。レース地で、ところどころ肌の色が見えるように透けているようだ。縁は黒色で囲まれていて、胸の形を強調しているようだった。
僕だって男の子だから、グラビア写真集という物を見たことあるけれども、それに勝るとも劣らず大きな胸をしている。
そこから視線を下ろしていくと、女性らしいくびれをしているのが見えた。色白な肌は、触らなくてもスベスベしていることが分かる。
さっきまで、この身体が僕に触れていたかと思うと、なんだか脳がおかしくなりそうだ……。
そして今からは、想像だけじゃなくて、実際にこの肌に直に触れることになるわけだ……。
僕は二度目の生唾を飲み込んだ。
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