高校生YouTuber はセクシー動画でバズりたいらしく、そのお手伝いをさせられます。
米太郎
第1話
「お願いします! 私のエッチな動画を撮ってください!!」
そう言って、頭を下げてくる女子が目の前にいる。
一体、なにをお願いしているんだろう、この子は……?
体育館の裏に呼び出されたのでドキドキして来てみたら、こんな告白をされてしまった。
普通、体育館裏で発生するイベントはただ一つ。『愛の告白』だと思うのだけれども……?
それを期待していたのに、『愛の告白』の三歩先くらいのことを告げられてしまった……。
「お試しで一回だけでいいの! それで私の魅力が十分伝わるはずだから!」
目の前の女子が顔を上げたかと思うと、目を潤ませながら僕の両手を握ってきた。驚きすぎて思考が追い付かない。
エッチな動画って、そういう行為をしている時の動画を撮るってことなのかな……?
いや、けどそれは僕の思考が加速し過ぎているのかもしれない。女子の口から直接聞く『エッチ』と言う単語の刺激が強すぎる。
見つめてくる女子と目を合わせる。
僕と目の高さが一緒なところからして、身長は僕と同じくらいの168cmといったところかな。肩くらいまである茶髪は、
ギャルとまでは言わないまでも、オシャレには気を付けている子に見える。僕は自分のクラスから出ない方だから、まるで接点が無い女子だ。そんな女子が僕に、何を求めているんだろう……?
「お願いします! リサからの一生のお願いです!」
自らをリサと言う女子は、再度頭を下げる。僕はそれを見つめるしかないわけだけれども……。こんなに近くに女子がいることなんて無いので、どこを見たら良いかも分からなくなってしまうが、リサのいやらしい身体が目に飛び込んでくる。
スレンダーな身体にしては、大きめの胸をしている。出るところは出て、締まるところは締まっている。華奢すぎるわけでも無く、どこを触っても柔らかそうな身体だ。こんな身体に抱き締められたら、気持ちいいんだろうな……。
それを動画として記録するなんて。もちろんその続きも期待してしまう。眺めてるだけで、頭の中にエッチな妄想が溢れだして止まらなくなっちゃうよ……。
頭の中をピンク色に染めていると、リサは頭を上げた。そして、もう一歩近寄ってきて僕の両手を、ぎゅっと強く握る。
「大丈夫! 初めてだと思うけど、私がリードするから。君は指示した通りにしてくれればいいだけだから!」
頭を下げていたので見えていなかった可愛い顔が眼前まで迫ってきた。目はバッチリ二重だが、目じりまで追っていくと少したれ目になって、セクシーさを感じさせる。その目を潤ませて、僕を求めてくるようだったら。
迫ってくるリサの圧に耐え切れず、一歩退く。
「ちょ、ちょっと待ってね」
まさか、本当に僕を求めているなんて無いだろう。罰ゲームなのか、さすがに何か裏がありそうだし。もしかすると、危ないヤンキー達と繋がっていて、払えないくらいの高額を請求されたりするかもしれない。
ここは誘惑に負けずに、丁重にお断りしておくのが良いだろう。
「えっと……。熱意があるのは伝わりました。けれども、色んな順序を飛ばして、そういうことをするのは、さすがに良く無いと思うんだ。だから、僕は遠慮しておこうと思うよ」
僕の返事に、リサはハッとした顔をした。そして、何かを思いついたように話し始めた。
「そ、そうだよね。順序があるよね。……まずは自己紹介からだよね。うんうん」
最後の方は、ぼそぼそと独り言のようにつぶやくと、無理矢理に作ったような笑顔を浮かべた。
そして、顔の横に小さく手を上げた。
「はい。はじめまして。現役女子高生のリサって言います! これから、よろしくお願いします!」
ぎこちない笑い方で、セリフ調で話す。高校生なのは、同じ高校に通っているから当たり前のように知ってるわけだけれども。
目の前の僕に対して言っているはずなのに、どこかの知らない人に対して喋りかけるような雰囲気を感じる。
どことなく、胸を強調しているのか、前かがみになっているような気がする。気付かないうちに、ワイシャツのボタンも一つ開けたのだろう、谷間が目に飛び込んで来る。誘惑が多すぎるし、押しが強すぎる……。
裏に何があるか分からないけれども、一度くらい騙されてもいいかなって思ってしまった。
「……うん、と。名前はリサさんっていうんですね? よろしくお願いします」
そう言うと、リサはパッと明るい笑顔になった。
素直に考えれば、本当に告白されたかも知れないわけだ。僕みたいな、チビ地味眼鏡なモブ男にも春が来たのかもしれない。
裏も無さそうな笑顔に素直に喜ぼうかと思ったけれど、良く考えてみると春を通り過ぎて熱い夏の到来みたいな状況だ。こういうことは初めてだけれども、一気に進捗が進み過ぎてしまって、嬉しさを通り越してよくわからない気持ちになるみたいだ。
リサは目を細くして、ほっとしたような顔になっていた。
「良かったー。断られたら、どうしようかと思っちゃったよ! ありがとう、恭介君!」
告白してきた相手だから当たり前かもしれないが、リサは僕のことを知っているようだった。リサは僕に片思いだったっていうわけなのか。想いが募ってこんな告白になったと。
そこまで思考が進んだところで、リサは僕の腕を取って、強制的に腕組みをしてきた。柔らかい感触が腕にピタリとくっついた。
「それじゃあ、早速お願いしたいんだ、エッチな動画撮影。 今からでもいいかな?」
「えぇーっと? 今からですか!?」
そう言って、リサは僕の顔を覗き込んで来た。
僕は言われるがまま、リサに腕を引かれた。
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