第44話 今夜がタマラさんだなんて理性が!

「ダルマシオさまぁ、お待ちしておりました!」


 ベッドの上で待っていたタマラさん、

 なんだか顔が少し紅潮しているかな、

 着ているのはメイド服っぽいけど……?!


「その服は」

「メイド服風のぉ、パジャマです!」

「はぁ、まあ確かにそんな模様ですね」


 そして激しく自己主張しているお胸さん。


「えっとタマラさん、その前に」

「はい何でしょうかぁ、羽根とか必要ですか!」


 何に使うんだ、何に。


「よれより今日のアレは、その」

「アレというのはぁ、どれでしょうか!」

「いや、今夜の予定を友達に言っちゃったの!」


 うん、理由を聞きたい。


「それはですねぇ……実はですね!」

「実は、何でしょ」

「あきらめさせるためです!」


 あー、そっかそっか、

 末端メイドなら取り巻きにもワンチャンと、

 でもすでに僕のお手付きですよ、っていう事を。


「なるほど、理解はした」

「わかってぇ、いただけましたか!」

「でも、貸せとか言われたら」「ダルマシオさまのご命令なら!」


 いやいや寝取られ趣味は無いってば!


(そもそもまだ寝てもいないし!)


「貸さないから、まあ大事な友人ではあるけれども」

「はいぃ、色々と楽しいお話を聞かせていただきました!」

「な、何を聞いたの!」「ふふっ、秘密です!」


 心当たりがあり過ぎる……!!


「まあどうせ、学園の頃の話とかだよね」

「ダルマシオさまの事がぁ、色々と知れました!」

「うっ、あくまで友人側から見た話だからねっ!!」


 僕も僕であの三人の話を色々と言わせて欲しい。

 まあいいや、今日は疲れた、さっさと寝てしまおう。


「えっと、それで僕は」

「夜伽ですっ、どうぞ、こちらへ!」


 ベッドの上で誘っている、

 隣にスペースを作ってポン、ポンって……

 どうしよう、いや逃げてどうする逆に、でも……


(あのメイド服模様のパジャマでも、近づくとその、大きさが、ね)


 ここは会話をしながら、

 ゆっくりゆっくり近づこう。


(確か男に襲われるのが、怖いんだっけ)


「タマラさんは、僕と一緒にその、寝るのに抵抗は」

「メイドですからぁ、もちろんメイドにも色々ですが!」

「そういや戦闘メイドもやるんだっけ」「はいっ、頑張ります!」


 メカクレながら表情が、

 決意に満ちている気がする。


(どこまで近づけば、目が見えるかな……?!)


「タマラさんは例の、七英傑の魂なんちゃら、何を貰ったんだっけ」

「アサシンのヘルムート様ですねっ、補助魔法が体内に!」

「あっ、そういえば冒険者ギルドでもパーティー登録で」「アサシンで登録しました!」


 じゃあ、学院へ行くまでにアサシンとしての修業も必要か、

 街の冒険者でアサシン居たっけな、タマラさんに教える依頼でも出そうか。


(メイドの仕事をやりながらだと大変そうだ、そのあたりも考えないと)


「もし、もしタマラさんが負けて、誰かに奪われちゃったりしたら」

「買い戻してぇ、いただけるんですよねっ?!」

「う、うんまあ、ってそんなにお金は……あるか、でもあれユピアーナ様のものだしなぁ」


 とはいえ、やっぱり手を付けちゃいそうだ。


「大丈夫ですぅ、王都へ行くまでに、負けないメイドになります!」

「う、うん、鍛えて貰うと良いよ、誰かに」

「そして三年間、王都の学院でダルマシオさまを無事お護りしてぇ、卒業後は!!」


 ……よし、かなり近づいたぞ、

 やっはり会話しながらだと怖くないみたい。


(今にして思えば、僕の友人とはいえ男三人相手に、よく我慢できたもんだ)


 そこはカタリヌさんが居たからかも。

 あと、なんだかんだ言ってそんな酷い事するような友達じゃないしな。


「卒業後は、どうするつもりで?」

「ダルマシオさまのぉ、お子様を育てます!」

「え、ええっ?!」「ですからぁ、王都で良い奥様を、見つけましょうね!」


 子守りメイド希望かぁ。


(……いや、大きいからって母乳は出ないよね?)


 僕は思わず近くで見て、唾を呑む。


「さあダルマシオさまぁ、そろそろ隣りへ!」

「うん、そろそろ、そろそろっと、そーっと、そーっと」

「そんなティムした猫型の魔物がぁ、寝に来るみたいにしなくても!」


 遠慮がちにタマラさんの胸元へ……!!


(うん、まずは、ちょっとくらいなら密着しても、仕方がないよねっ!!)


「ダルマシオさまぁ……えいっ!」


 ぎゅむっ!!


(あわわわわわわ!!!)


 抱きつかれちゃったあ!!!


(にっ、肉が、お胸のお肉があああああ!!)


「……あの、ダルマシオさまぁ、実は私!」

「はい、なんでしょ、しょう、かぁ」

「多分なんですがぁ……男の人に迫られるのは苦手です!」


 うん、知ってる。


「だよね」

「でもぉ……男の人に迫るのは、好きみたいです!!」


 えええええ!!!


「そ、そうなんだ」

「はいぃ、今、すっごくドキドキして、衝動が抑えきれません!」


 そんなこと、言われ、ましてもぉ……。


「それとやはり私、王都に出る以上はぁ、ある程度は男性に慣れないと、いけませんよねっ?!」

「そりゃあまあ、そうだよね、ずっと僕の借りる家に引きこもっている訳にもいかないし」

「なので、王都へ行くまでの間はぁ、ダルマシオさまで、ダルマシオ様を使って、練習したいと思います!!」


 使って練習って!!


「ということでぇ、と、いうことで!」

「ちょ、ちょっと、ちょっとおおお!!」

「ダルマシオさまぁ、ダルマシオさまあ、ダルマシオさまあああああ!!!」


 ……このあと、僕はタマラさんで、

 それはもう、めっちゃくっちゃ暖まった。


(ヤケドしそうなくらいにねっ!!)

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