第43話 友人に余計な事を言わないでー!
「おっ、戻って来た」
「学院の準備が今から大変なんだって?」
「ダル、困ったら俺たちをいつでも王都に呼んでくれよ」
とまあ夕食時になったのでそろそろ帰れと友人の元へ。
(ずっとタマラさんが相手してくれていたのか、申し訳ない)
まあ、メカクレ巨乳メイドという珍しい生き物だからね、
王都に行ってゴロゴロ居たらどうしよう、別にいいけど。
「ええっと、僕の予想だと明日、タマラさんはお休みです」
「ほんとか?!」「そうなんですか」「ダル、どういうことだ」
「いやいや、メイドなんだから休日くらいあるってば!!」
と言いたいけど、そうじゃない所もまれにある。
(ウチが貧乏貴族でなくて良かった、いくら上前めっちゃ取られてても)
一応は父上が直系だからね。
「はい、私タマラは今夜、ダルマシオさまと一夜を過ごしたのち、
朝に寝室の、特にベッドの掃除を終わらせてその後は休みとなります」
いきなり何を言ってるのーーー!!
「ほ、ほんとか?!」「もうそこまでか!!」「ダル、ダル、ダルお前!!」
「いやそのあのその、つまりこれは……あ、あくまでメイドが添い寝してくれるだけだから!」
まずはカイルが詰め寄ってくる。
「その添い寝というのは、どこまでなんだ?!」
「それはまあ、寝かしつけてくれるだけ、かも」
ここは誤魔化しておこう、
実際の所はまだわからないし。
続いてディランが同じように迫ってくる。
「ダルマシオ君、いくつだっけ」
「十五歳です!」「タマラさん二十歳だよな?」
「そうですね」「はい、私は二十歳ですが」「五歳、上かぁ」
最後にロジャーが、って近い近い近い!
「そんな、姉と弟の添い寝程度で、終わるはずないよな、なあダル?」
「いやそれはわからない、なにせタマラさん『は』添い寝初日だから」
僕のその言葉に三人が顔を見合わせる。
「ということはだ、他のメイドさんも……」
「い、いや、それは、まあ、その」
「はい、それはもう順番に、そして今夜はこの私、タマラの番で」
だーかーらー!
友人に余計な事は、言わないでーーー!!
「領主ってそんな美味しい目に」
「まさか、そこまでだったとは……」
「ダル、まずアンナさんから詳しく聞こうか」
(もうやめてーーー!!)
「あーもう、こういう内容は主人から言ってはいけないマナーだから!」
「そうなのか?」「そうなんだ」「ダル、そうだったのか」「えっ、そうなんですか?!」
いや、しれっとタマラさんまで!!
「だから、僕からは、言えない」
「じゃあタマラさんから聞くよ」「休み明けに教えて!」
「ダル、しっかり聞くからな!」「そういう事でしたら後日、皆さんに」「お前ら帰れ!!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃、馬車では……
「姫、いかがでしたか、ダクスヌールは」
「解呪以外に取り柄の無い街ね、マージ、新品のアイテム袋はちゃんと買ったのかしら?」
「あぁセィル……うれしぃ……」「姉さん、姫が」「はっ! な、何でしょうか」
慌てて両膝を揃え、ロゼッタ姫を見るマージ。
「アイテム袋は買われました?」
「はっ、陛下の書状を見せた所、奥から」
「いくつ?」「ふた袋です」「仕方ないわね……」
気怠い表情で女騎士を見る姫。
「で、ウルーはどう見たのかしら」
「はいっ、解呪の様子ですが、あれは……」
「そうでなくて」「……あのタマラ、あれは伸びしろがあります」
フッ、と不敵な笑みを浮かべるロゼッタ姫。
「乳だけのお飾りじゃなかったのね」
「はい、他のメイドはわかりませんが、アレだけでも確保しておく価値はあるかと」
「ファロラ、あれに勝てますか?」「……がう、今なら」「なら後は、育て方次第ね」
少し暗い表情の戦闘メイドに改めて顔を向けるロゼッタ姫。
「弟を助けてもらったとはいえこれは別ですよ、
借りを感じているなら別の形で返すことね、身体とか」
「……わかっております姫、そして私はあくまで」「弟のメイドとして学院へ、でしょ? わかっているわ」
そしてすっかり日の暮れた窓の外を見る姫。
「それにしても、私の魅了(チャーム)が、ねぇ……やはり大魔導師の血……でも……」
その目が、鋭くなる。
「狩る相手はあくまでも……メイドよ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そして村の屋敷に戻ったダルマシオ、
夕食が終わってお風呂タイムなのだが……!!
(誰かと思ったら、両方知らないメイドさんだーー!!)
いや、館でちらっと何度か見た顔だし、
軽い挨拶をした事があったような気がしないでもない、
でもほとんど知らない……三十歳前後かな、うん、これぞメイドって感じ。
(ここに住んでいるっていう事は、やっぱり魔女なんだろうなぁ……)
メイドお婆ちゃん達ほどでは無いが、
なんというか安心する、うん、身を任せよう。
「……」「……」
いや、なんで何も言わないのー?!
なんとなくの雰囲気だけど、ほら、魔女ってローブで、
フードを頭に深く被って顔を見せないじゃない? もしくは陰になってたり。
(それがフードをめくるとこんな感じ、っていう顔に見える)
あくまでもイメージです!!
「あっ頭ですかそうですか、はい目を閉じます」
仕事は的確だ、喋らないだけで。
(なんとなくだけど、学院へ行ってこの館に不在になったら、留守番してくれるメイドなんだろうな)
こうして全身綺麗にしてもらったのち、
謎の無言待機時間が数秒あって、大きく頭を下げて出て行った。
「あの間は、なんだったんだろう……?!」
とにかく、今夜はタマラさんと!!
(理性が持ちそうに、ないっ!!)
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